作成日:2016年6月30日 更新日:2018年7月26日
株式投資の意思決定、すなわち株を買ったり売ったりするためには、今の株価が割高なのか割安なのかを知る必要があります。一般的にはPER(株価収益率)が使われますが、PERは時に「異常値」が出てしまう指標のため、補完的にPCFRという指標が使われます。
今回は「PCFRとは?意味・計算式や計算方法・使い方」について解説します。
PCFRとは? 株の始め方・銘柄の選び方
PCFRとは「Price Cash Flow Ratio」の略で日本語に訳すと「株価キャッシュフロー倍率」になり、「ピーシーエフアール」と呼ばれます。PCFRは、会社が本業でどれだけお金を生み出したかを表す営業キャッシュフローの何倍まで株式が買われているかを表しており、株価が割高か割安かを示す指標として使われます。
一般的に株価が割高なのか割安なのかを判断するために、多くの投資家がPER(株価収益率)を使います。しかしPERは「株価 ÷ 1株あたり純利益」で表されるため、分母の純利益が大きく減ると、PERの値が異常に大きくなってしまうという問題点がありました。
例えば業績が良く積極的に設備投資をしている企業は、「減価償却費」という費用が増えることになります。結果的に利益が減るためPERが異常に大きくなり、業績が良くなっているにも関わらずその株価が割高と判断されてしまいます。
一方でPCFRは「減価償却費」を外して、企業が本業でどれだけお金を生み出したかを示す「営業キャッシュフロー」と株価の関係を見るため、そうしたPERの欠点を補完できるのです。
なお、PERについては別記事で詳しく解説しています。あわせてお読みください。
PERとは?意味や平均・計算式を解説 株の始め方・銘柄の選び方
PCFRの計算式・計算方法 株の始め方・銘柄の選び方
PCFRは以下の計算式・計算方法で導き出せます。
PCFR(倍)=時価総額 ÷ 営業キャッシュフロー または PCFR(倍)=株価 ÷ 1株あたりキャッシュフロー
なお、1株あたりキャッシュフローは以下の計算式で計算されます。
1株あたりキャッシュフロー=営業キャッシュフロー ÷ 発行済み株式数
有価証券報告書とヤフーファイナンスでPCFRを自分で計算する
上場企業であれば企業の有価証券報告書を入手して、PCFRを自分で計算することもできます。今回は「ソフトバンク」を例として計算してみましょう。
まず、ソフトバンクHPにアクセスし「企業・IR」をクリックします。
少し下の方の「IR情報」の中の「業績・財務」をクリックします。
進んだ画面で「有価証券報告書・四半期報告書」をクリックし、直近の「有価証券報告書」をダウンロードします。
有価証券報告書は上場企業が毎期作成しなければならない書類です。この中の「一部-第5【経理の状況】-1【連結財務諸表等】」を見てみます。「(1)【連結財務諸表】d【連結キャッシュ・フロー計算書】」に営業活動によるキャッシュ・フローという項目があると思います(今回はソフトバンクの「連結」でのROEを計算します)。
この営業活動によるキャッシュ・フロー(ソフトバンクの例・2016年3月31日に終了した年度だと940,186百万円)がPCFR計算の分母になります。
株式の時価総額はヤフーファイナンスで調べることができます。(ヤフーファイナンス-各銘柄のページ-詳細情報の参考指標)。
PCFR(倍)=時価総額 ÷ 営業キャッシュフローにあてはめると、6,907,399百万円 ÷ 940,186=7.34倍となります。ソフトバンクは、1年間に本業で生みだすお金の7倍以上株が買われているということになる訳ですね。
なお、今回は例としてソフトバンクで解説しましたが、サイトの場所や名称は多少変わりますが上場企業であれば同じように有価証券報告書を入手してPCFRを計算することが可能です。
自分の気になる銘柄のPCFRがどれくらいか計算してみましょう。
PCFRの意味と平均 株の始め方・銘柄の選び方
このPCFRですがどういう意味を持ち、株式投資においてはどう判断して使ったらいいのでしょうか。
PCFRの意味
先ほど解説したように、PCFRは以下の計算式で求められます。
PCFR(倍) =時価総額 ÷ 営業キャッシュフロー または PCFR(倍) =株価 ÷ 1株あたりキャッシュフロー
仮にPCFRが20倍ということであれば、会社が本業から生み出すお金の20倍まで株が買われていることになります。投資家の取り分=配当金は利益から支払われるものですが、この利益を生み出すものはもちろん会社が生み出すお金になります。そのため、PCFRが高いと株価が割高ということになるのです。
また、PCFRは株価と営業キャッシュフローの関係から計算されるため、分子である株価が上がればPCFRは上がり、株価が下がればPCFRは下がります。分母である営業キャッシュフローが増えればPCFRは下がり、営業キャッシュフローが減ればPCFRは上がります。
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なお、証券会社を選ぶポイントについては、別記事で詳しく解説しています。あわせてお読みください。
株の始め方:証券会社の選び方① 証券会社を選ぶ5つのポイント
個人型確定拠出年金(通称:iDeCo)
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まとめ
今回は、株の初心者向け銘柄の選び方として「PCFRとは?意味・計算式や計算方法・使い方」について解説しています。
- PCFRとは?
- PCFRの計算式・計算方法
- PCFRの意味・使い方
についてまとめています。PCFRは株価が割高なのか割安なのかを示す指標で、PERの補完指標として使われます。「異常値」が出がちなPERを確かめる目的で使いましょう。
株の初心者向け銘柄の選び方 前後の記事と記事一覧
みんなの教科書では、株の初心者向け「銘柄の選び方」をファンダメンタルズ分析からテクニカル分析まで、ひとつひとつ解説しています。初めて株式投資を始める方でも記事を順番に読めば、株についての基礎知識を身につけることができます。あわせてお読みください。
- ROEとは?意味や計算式を解説 株の始め方・銘柄の選び方
- PERとは?意味や平均・計算式を解説 株の始め方・銘柄の選び方
- PBRとは?意味や平均・計算式を解説 株の始め方・銘柄の選び方
- PCFRとは?意味・計算式や使い方を解説 株の始め方・銘柄の選び方(今回の記事)
- EPSとは?意味・計算式や使い方を解説 株の始め方・銘柄の選び方
- BPSとは?意味・計算式や使い方を解説 株の始め方・銘柄の選び方
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