作り始める前に!わかりやすいプレゼン資料の構成・作り方5つのコツ

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作成日:2015年12月15日 更新日:2020年3月7日

ビジネスにおいてプレゼンする機会は沢山あります。良いプレゼン資料を作るためには事前にしっかりと構成や論理展開を考えておく必要があります。

今回は「実際に作り始める前に考えておくべきわかりやすいプレゼン資料を作るための構成とコツ」をわかりやすく5つのポイントに整理して解説しています。ぜひお読みください。

①まずはここから!プレゼンテーションって何?流れと作り方のポイント

まずは、プレゼンテーションとは何か?というところから理解していきましょう。

プレゼンテーションとは

プレゼンテーションとは相手に自分の意見や情報を伝え、理解し・納得し・行動してもらい、それにより自分の目的を達成すること」です。そう考えればプレゼンテーションは、ビジネスだけでなく学術研究や政治、日常生活までありとあらゆる場面で行われていることが分かると思います。

ビジネスにおいてプレゼンテーションは事業活動の中の1つのプロセスに過ぎません。例えば、あるコンサルティングのプロジェクトを例に取ると、下の図の色付きの部分が「プレゼンテーション」になります。

コンサルティングプロジェクト

プレゼンテーションの流れ

プレゼンテーションの一連の流れを図にすると、下のようになります。

プレゼンテーションの流れ

今回はプレゼンテーション資料を作り始める前の部分、①~④について解説していきます。

②プレゼン資料作成前のコツ!プレゼンテーションの相手・目的・伝えるべきメッセージを考える

プレゼンテーションはビジネスだけでなく日常生活の様々な場面でも必要になります。2つめのプレゼン資料の作り方のコツとしてプレゼンテーションの相手と目的、そして伝えるべきメッセージをきちんと把握しましょう。

プレゼンテーションの相手と目的

あなたがプレゼンテーションを行おうとする相手は誰でしょうか?また、プレゼンテーションの目的は何でしょうか?プレゼンテーションの準備をする前に、この2点をよく把握しておく必要があります。

特に意識して欲しいのがプレゼンテーションの目的=ゴールです。

プレゼンテーションのゴールは、「相手に行動してもらう」ことになります。そのため、どんなに分かりやすくビジュアルに優れたプレゼンテーション資料を作ったとしても、どんなに興味深く感動的なプレゼンテーションを実施したとしても、プレゼンテーション後に相手が行動してくれなければ、それは良いプレゼンテーションとは言えません。

相手に行動してもらうためのプレゼンテーションのコツ

では、「相手に行動をしてもらう」ためには、どんなプレゼンテーションを行えば良いのでしょうか?そのためには大きく3つのコツがあります。

1つめのコツは、相手がプレゼンテーションの内容を理解できる」ということです。プレゼンテーションを聞いた後に、相手が「この話し手は何を言っているんだろう?」「何を伝えたいのかさっぱり分からない」という状態だと、当然相手はその後の行動を起こすことはありません。

2つめのコツは、「相手がプレゼンテーションの内容に納得できる」ということです。プレゼンテーションを聞いた後に、相手が「言いたいことは分かるけどやりたくない」「何をして欲しいかは理解したが本当に上手くいくのか腹落ちしていない」という状態だと、当然これもまた、相手はその後の行動を起こすことはありません。

3つめのコツは、「相手がプレゼンテーションの内容をもとに実際に行動できるということです。プレゼンテーションを聞いた後に、相手が「やるべきだとは納得できたが現実には無理だろう」「理屈はわかるが実際にはできない」という状態だと、当然これもまた、相手はその後の行動を起こすことはありません。

良いプレゼンテーションと悪いプレゼンテーション

上の図のように「相手に自分の意見や情報を伝え、理解し・納得し・行動してもらい、それにより自分の目的を達成すること」が良いプレゼンテーションなのです。

プレゼン資料を作成し始める前に、下の図のようにプレゼンテーションの相手・目的を書き出しておきましょう。プレゼン資料を作っているうちに、本来の目的からズレていってしまうこともよくあるからです。

プレゼンテーションの相手・目的

プレゼンテーションで伝えるべきメッセージ

プレゼンテーションの相手と目的が設定できたら相手に伝えるべきメッセージを考えましょう。

相手と目的が変われば、伝えるべきメッセージも変わってきます。例えば、相手が「親」で、目的が「お小遣いの増額」であるプレゼンテーションを例に考えてみましょう。この場合相手に何を伝えれば、行動「お小遣いを上げる」してくれるでしょうか。

これからお金を使う必要がある金額を計算して不足していることを示せばよいかもしれません。あるいは、周りの友人達が自分以上にお小遣いをもらっていることを示すべきかもしれません。はたまた、成績が上がったご褒美をもらうことを主張すべきかもしれません。

このように、相手が理解し・納得し・行動するために、どんなメッセージが適切なのかをきちんと定義しましょう。

相手に伝えるべきメッセージの定義

このように、プレゼンテーションで相手に伝えるべきメッセージは、相手や目的により変わってきます。そのため、プレゼン資料を作成する際には、下の図のように伝えるべきメッセージを明確して書き出しておきましょう。

プレゼンテーションで伝えるべきメッセージ

③いきなりパワーポイントでプレゼン資料を作り始めない!まずは全体の構成を考える

3つめのプレゼン資料の作り方のコツはいきなりパワーポイント資料を作り始めないということです。

パワーポイントはプレゼンテーション、すなわち、自分の言いたいことを相手に伝えることにはとても良いツールです。しかし、パワーポイントは考え尽くしたことを表現するツールに過ぎず、相手にどう伝えたら伝わりやすいのか考えるには不向きなツールなのです。

また、ビジュアルや効果に気持ちがいってしまい肝心のコンテンツに関心が薄れてしまうのも問題です。紙に手書きで書いて考えるという方法もありますが、ワードのアウトライン機能を使う方法がオススメです。実際の画像を使いながら解説していきます。

ワードのバージョンによっても異なりますが、下の画像のように、表示→アウトラインを選択します。

アウトライン表示

実際のアウトライン表示は下の画像のようになり、左上の左右の矢印をクリックすると、レベルの上げ下げが簡単にできます。見出しとして取り扱うものと、その内容にすべきものを簡単に分けられます。

実際のアウトライン

いきなりパワーポイント資料を作り始めてしまうと、デザインや効果に集中してしまいがちです。まずはこのように全体を俯瞰して、起承転結のような流れを作ることが大切です。

また、ワードで作成したアウトラインを、パワーポイントのタイトルとしてインポートすることもできます。まずパワーポイントを起動し、下の画像のようにホーム→新しいスライド→アウトラインからスライドを選択します。

パワーポイントアウトライン挿入1

作成したアウトラインのワードファイルを選択すると、下の画像のようにタイトルとして取り込むことができます。大変便利な機能なのでぜひ使ってみてください。

パワーポイントアウトライン挿入2

④相手に理解してもらうためのコツ!プレゼンテーションのストーリーと構成

4つめのプレゼン資料の作り方のコツはプレゼンテーションのストーリーを考えることです。

ここまでのプロセスで、プレゼンテーションの相手と目的、そして相手に伝えるべきメッセージが明確になりました。ストーリーは、相手に伝えるべきメッセージを補足する情報のことで、相手がメッセージを理解できるようになります。

具体的には、プレゼンテーションの流れ=何をどんな順番でどのように伝えていくかの構成のことをいいます。ストーリーがなく、単なるメッセージだけのプレゼンテーションは相手に理解してもらえません。

ストーリーの基本形

ストーリーの基本形は「起承転結」です。もともとは漢詩の「絶句」と呼ばれる4行の構成からきています。4コマ漫画にも使われていますね。

起承転結

一般的によく使われているので馴染みのあるストーリー構成なのですが、もともと文学や物語に使われてきたためビジネスにはふさわしくない部分もあります。

ビジネスにおけるストーリー

ビジネスにおけるプレゼンテーションは問題解決の提案が多いです。問題解決には「空雨傘」と呼ばれるストーリーが分かりやすいです。これは、「空に雲が多い」という事実から、「雨が降りそうだ」という解釈を行い、「傘を持っていこう」という行動を起こすという流れです。

空雨傘の流れ

この空雨傘の流れは、問題解決にとても重要となる考え方です。事実をきちんと確認しそれを解釈し、さらに行動するという、空雨傘のどれが欠けても正しい問題解決が行えないからです。

日常的な問題解決の例

日常的な問題解決を例にみてみましょう。例えば、家族や友人に「どうも体調が悪いんだよね・・・」と言われたとします。

  • 下の図のAさんの「薬飲みなよ!」という回答は問題解決になっているでしょうか。体調の悪さが薬で治るのかどうかが疑問です。
  • Bさんは「病院行きなよ!」という回答です。これはどうでしょうか?こちらは、どの病院の何科にかかればよいのか分かりません。
  • Cさんの「どこがどう悪いの?」という回答が正解です。体調が悪いといっても、怪我や病気、二日酔いや肩こりなど様々な状況があります。解決策である「薬」「病院」は正しい解ではないかもしれないのです。正しく問題解決に繋げるには、空雨傘で言う空、つまり事実から確認することが必要なのです。

日常の問題解決の例

ビジネスにかぎらず、日常生活には問題が沢山あります。それぞれの問題にこの空雨傘の考え方が応用できます。

電車が遅れている 復旧に時間がかかりそうだ タクシーを使おう
天井から水が漏れている 屋根に穴が開き雨漏りしている 屋根修理業者に依頼しよう
最近サッカーチームが勝てない 終盤スタミナが切れて失点する 交代タイミングを早めよう
天ぷら油から火が出た 油の火事は水をかけられない 消火器を使って火を消そう

このように、問題解決には空雨傘の流れがとても重要になります。どうしても問題解決には成果につながる「どのように解決するか」から考えがちですが、空雨傘の空、事実の把握から始める必要があります。

空雨傘と問題の定義と解決法

空雨傘を、問題の定義と解決法・5W1Hに当てはめると下の図のようになります。

問題の定義と解決法

「体調が悪い」という情報だけでは、正しい解決法につながらない可能性があり、問題解決のためにはまず問題の特定・定義が重要なのが良く分かると思います。

下の本は問題解決についておそらく世界一分かりやすい本だと思います。もしこういった考え方に慣れていないようでしたら、こども向け?とバカにしないでまずはここから読んでおくと非常に理解が深まります。

⑤相手に納得してもらうコツ!プレゼンテーションの論理展開

5つめのプレゼン資料の作り方のコツはプレゼンテーションの論理展開です。自分にとっては明白であり当然のことでも、相手にとって明白で当然のことであるとは限りません。そのため、メッセージを相手に理解し納得してもらうためには、論理的に説明していく必要があります。

論理的に説明する方法は、①演繹法と②帰納法の2通りあります。

①演繹法(えんえきほう)

演繹法(えんえきほう)とは、一部が三段論法とも呼ばれる、2つの事実や情報を関連づけ必然的な結論を導く思考方法のことです。

例えば、「スカイツリーは日本一高い」「『日本一』のモノは人気が出る」という2つの事実や情報があったとします。そこから導き出される結論は何でしょうか?そうです、「スカイツリーは人気が出る」ですね。

このような思考法を演繹法と言います。

演繹法の例

逆に、伝えたい結論やメッセージが先にあった場合、演繹法で論理展開するためにはどんな事実や情報を示せば良いのかという考え方もできます。

例えば、「工藤は酔っている」という結論を導きたい場合には、どんな事実や情報があれば良いでしょうか?例えば、「お酒を飲むと酔っ払う」と「工藤はお酒を飲んでいる」ですね。

演繹法の例(逆)

②帰納法(きのうほう)

帰納法(きのうほう)は、多くの観察事項や事実から共通点をまとめ上げることで、結論を引き出すという思考法です。

例えば、「大根の価格が高い」「白菜の価格が高い」「青梗菜の価格が高い」という3つの観察事項や事実があったとします。そこから導き出される結論は何でしょうか?そうです、「野菜の価格が高騰している」ですね。

このような思考法を帰納法と言います。

帰納法の例

演繹法と同じ様に、逆に、伝えたい結論やメッセージが先にあった場合、帰納法で論理展開するためにはどんな事実や情報を示せば良いのかを考えることもできます。

例えば、「ラーメンは太りやすい」という結論を導きたい場合には、どんな事実や情報があれば良いでしょうか?例えば、「味噌ラーメンは太りやすい」「豚骨ラーメンは太りやすい」「醤油ラーメンは太りやすい」が考えられると思います。

帰納法の例(逆)

帰納法で注意すべき点は、事実からいくつかの異なる解釈が生まれるという点です。様々な解釈ができるのですが、相手を納得させるために有用な解釈を導き出しましょう。

帰納法の解釈

このように、演繹法や帰納法といった思考法を活用し伝えたいメッセージを相手が理解し納得できるように論理展開を組み立てていきます。

先に例にあげた「お小遣いを増額するプレゼンテーション」を例にとると、演繹法なら「お小遣いが増額すれば成績が上がることを示せばよい」とも考えられるでしょうし、帰納法なら「友人達のお小遣額が自分より高いことを示せばよい」とも考えられると思います。

メッセージと論理展開

ロジックツリー

このように、メッセージを裏付ける論理展開を組み立てていくと全体の構成は大きな木のようになります。

ロジックツリー

これをロジックツリーと呼びます。実際にここまで作りこむのは少し手間ですが、プレゼン資料を作成し始める前に行っておくと後のプレゼン資料の作成がとてもスムーズになります。論理展開に矛盾や無理がないか簡単にチェックできるようになるからです。

因果関係の錯覚

論理展開を考えていく上で、誤りやすいポイントとして「因果関係を錯覚してしまう」ことがあります。因果関係とは原因・結果の関係のことです。この関係を考える時に錯覚を起こさないように注意する必要があります。

相関がある≠因果関係

例えば、日本では夏にアイスクリームがよく売れます。同じようにビールもよく売れます。アイスクリームの売上とビールの売上には相関(一方が変わればもう一方も変わるように、お互いに影響を持つこと)がありますが、因果関係はありません。

これは、「夏は気温が高くなる」ということとアイスクリームとビールの売上それぞれに因果関係があり2つの間に直接の関係はないためです。

相関と因果

原因・結果の逆転

「MBA留学をすると出世する」というメッセージがあるとします。正しそうに思えますが、よく考えてみると、企業はそもそも出世する従業員をMBA留学に派遣しているのかもしれません。このように原因と結果が逆転してしまうことがあります。

原因と結果の逆転

にわとりと卵

にわとりと卵は、売上高と広告宣伝費の関係と似ています。広告宣伝を行えば売上高が増える傾向にあるのはもちろんですが、売上高の何%を広告宣伝費にあてようと考えている会社も多いです。

そのため、「売上高が上がったから広告宣伝費が増えた」のか「広告宣伝費が増えたから売上高が上がったのか、どちらが先なのかの判断は難しくなります。

にわとりと卵

まとめ

今回は「実際に作り始める前に考えておくべきわかりやすいプレゼン資料を作るためのの構成とコツ」をわかりやすく5つのポイントに整理して解説しています。

  • プレゼンテーションとその流れ
  • プレゼンテーションの相手・目的、伝えるべきメッセージ
  • プレゼン資料を作り始める前に全体的な構成を考える
  • プレゼンテーションのストーリーと構成
  • プレゼンテーションの論理展開

プレゼンテーションは相手に動いてもらってはじめて良いプレゼンと言えます。わかりやすいプレゼンテーションのために、実際にプレゼン資料を作り始める前にしっかりと準備してください。また、みんなの教科書では、プレゼン資料の具体的な作り方の詳細を別記事にまとめています。あわせてお読みください。

みんなの教科書記事 「見やすく分かりやすい!パワーポイントプレゼン資料の作り方」
https://minnanokyoukasho.com/businessskill-presentation-making

ビジネススキルを身につけたい全ての人に有用な記事になれば幸いです。


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