作成日:2018年1月26日 更新日:2018年11月28日
借金が増えすぎると、どこかで債務整理・借金整理を行わないと破たんします。今回の記事では、債務整理・借金整理の方法の1つ「特定調停」について解説します。特定調停のスキーム・かかる費用・メリットとデメリットや、特定調停後に借入や住宅ローンを組めるのかなどをまとめました。借金問題に悩む方はぜひお読み下さい。
債務整理・借金整理の種類と方法
債務整理・借金整理には大きく以下の5つの方法があります。
■ 借金を整理する方法(リンク先は詳しい解説記事です)
- 任意整理による債務整理・借金整理
- 特定調停による債務整理・借金整理
- 個人(民事)再生による債務整理・借金整理
- 自己破産による債務整理・借金整理
- 過払金の清算による債務整理・借金整理
今回の記事では、2特定調停を解説します。
状況によってどの方法を選ぶべきかについては、別記事「債務整理借金整理の基礎知識:方法・流れ・費用・メリットデメリット」をお読み下さい。
まずはここから理解しよう!特定調停とは?
特定調停による債務整理・借金整理は、債務者(借金している人)が簡易裁判所に申し立てをし、裁判所が債務者(貸金業者など)と債務者の話合いを仲裁し、返済条件の緩和などの合意を促して債務者の借金整理を促すしくみです。
簡単に言うと、借金が返せなくなった時に元金の減額や利息の免除、返済期間の延長・スケジュールの変更などを、裁判所の仲裁のもとに貸金業者と話し合って解決する方法です。
どんな人が特定調停を利用できる?
特定調停は、特定調停法にもとづき、以下の場合に利用できることになっています。
- 支払不能に陥るおそれがある者
- 事業の継続に支障を来すことなく弁済期にある債務の返済が困難である者
- 債務超過に陥るおそれのある法人
が利用できることになっています。ポイントは、「支払不能に陥るおそれ」があるというところで、自己破産とは違って支払不能の状態になくても構いません。あまた、借金の使いみちがどのようなものであったかは原則問われません。
こんな人に向いている
特定調停は、借金があまり多くない場合(200万円ぐらいを目安)に行う債務整理・借金整理の方法です。
任意整理は原則として護士や司法書士に依頼するため費用が発生します。特定調停は自分で行うことができるので、どうしても専門家の費用が払えない方が利用するといいでしょう。債権者1社(人)あたり1000円程度の費用で債務整理・借金整理を行うことができます。
自分でやるとはいっても、簡易裁判所の調停委員会が解決案を出してくれるため法律に詳しくなくても安心して利用できます。
特定調停による債務整理・借金整理のスキーム
特定調停による債務整理・借金整理は図のような流れで進めていきます。
それぞれのスキームについて解説していきます。
①特定調停の申し立て
特定調停の申し立ては、相手の債権者(貸金業者など)の住所を管轄する簡易裁判所に行います。なお、この場合の住所は本店ではなく実際に取引した支店や営業所の住所になります。
申し立ての際には、「調停申立書」を作成します。調停申立書には「特定調停手続きにより調停を行うことを求めます」という文言を記載しなければなりません。事前に簡易裁判所に行き「申立用紙」をもらい、その時に具体的な書き方・手続きやスケジュールなどを相談するといいでしょう。
申立の際に提出する資料
申立の際には、調停申立書と別に以下のような資料を提出します。
- 資産の一覧表(不動産、自動車、預金など)
- 債権者の一覧表
- 生活の状況が分かるもの(給与明細、家計簿、通帳の写しなど)
- 借入の内容が分かるもの(契約書の写し)
- これまでの返済の内容が分かるもの(領収書などの写し)
申立費用
特定調停の申立費用には、申立手数料(1社500円)と予納郵券(裁判所によって異なる)がかかります。
②調停の期日(出頭日)
特定調停の申立をすると、2~3週間後に簡易裁判所から調停期日の呼出状が送られてきます。この呼出の通知を持って調停期日に出頭すると、調停委員会(裁判官・調停委員2名で構成)において話合いがなされます。
通常、2回程度の出頭で済む場合が多いです。調停は以下のような内容が話し合われます。基本的には調停委員が主導権を取りますので、口論などにはならないので安心してください。
- 調停委員会による双方の意見の調整
- 残債務額の決定
金利が利息制限法の金利を超えている場合はこれを引き直し計算を行います。なお、引き直し計算のは別記事「過払い金とは?引き直し計算と返還請求の方法費用を徹底解説」で詳しく解説しています。あわせてお読み下さい。 - 返済計画の検討
通常3年程度で毎月の返済額を決めることになります。
③調停成立
調停委員会が示した調停案で話しがまとまれば、調停成立です。調停が成立したら、調停調書が作成されます。
④調停に代わる決定
「調停に代わる決定」とは、調停が成立しなかったときに、調停の結果から相当と考えられるときに、裁判所が適切と思われる返済方法を示す決定を出すことです。ただし、2週間以内に異議の申立があれば失効します。
⑤調停不成立
調停が不成立となったら、自己破産など他の債務整理・借金整理の方法を考えていくことになります。この場合は、弁護士などの専門家に依頼すべきでしょう。
特定調停のメリットとデメリット
特定調停のメリットとデメリットについてまとめました。
特定調停のメリット
特定調停のメリットは以下のような点です。
- 手続きを自分ですることができるため、費用が安く済む(債権者1社(人)あたり500円の手数料+予納郵券)
- 簡易裁判所の調停委員会が解決案を出してくれるため、法律に詳しくなくても安心。手続きも教えてくれる
- 特定調停の手続きに入ると貸金業者など債権者からの取立てがストップする
- 給与差し押さえなどの民事執行手続きを無担保で停止できる(ただし裁判所の判断が必要)
- 自己破産と異なり、財産を手放すようなことはない
メリットは、自分でやるため手間はかかりますが、やはり費用が安く済むというところでしょう。
特定調停のデメリット
特定調停のデメリットは以下のような点です。
- 過払金請求訴訟は別途行う必要がある
- 調停成立後の弁済が滞ると給与差し押さえなどの強制執行の対象になる可能性がある
- 債権者(貸金業者)が複数の時は、全員を相手方として特定調停を申し立てて順次調停を成立させるという運用になる
- 書類の書き方は教えてくれるが大変で手間がかかる
- 自己破産のように借金が免責される訳ではなく、合意した分の債務の返済は残る
- 原則として住宅ローンなどの新たな借入ができなくなる(5年程度)
最大のデメリットは、他の債務整理・借金整理などと同様に、その後5年程度住宅ローンや自動車ローンを含む新たな借入や、クレジットカードの発行ができなくなる可能性があることです。
特定調停を行うと信用情報の「ブラックリスト」に載ってしまうため、その履歴が消える5~7年は新たな借入ができなくなる可能性があるのです。
債務整理・借金整理に強い法律事務所
特別調停は原則として自力で行います。ただし、借金問題に苦しめられている中で様々な手続きをするのはなかなか難しいことが多いため、弁護士などの専門家に頼むのも1つの方法です。ここでは債務整理・借金整理に強い法律事務所をご紹介します。
弁護士法人あまた法律事務所
弁護士法人あまた法律事務所は、豊川祐行弁護士を中心に借金問題に精通した弁護士3名が営む法律事務所です。債務整理・借金整理に強いと言われている法律事務所はいくつかありほとんどは1人でやっている個人事務所ですが、弁護士法人あまた法律事務所は3名体制でやられているだけあって手厚いサポートが期待できます。
弁護士法人あまた法律事務所は多重債務に悩む人にやさしい以下のような特徴があります。
- 何回でも相談料無料・費用の分割も可能
電話やメールでの相談料は無料です。また、費用の分割払いも可能ですので、安心して相談できます。 - 卓越したノウハウと専門知識と豊富な実績
代表弁護士の債務整理実績は5000件以上!あまた法律事務所では借金問題を日々扱い、
多くの相談者様の相談を受け付けている問題解決の「プロフェッショナル」です - 24時間365日WEBで受付可能
ホームページからメールで24時間365日受付が可能、昼間や平日に時間が取れなかったり電話ができなかったりする人も利用できます。また、電話も毎日9:00〜21:00まで受け付けています。
借金問題解決のプロで経験と実績豊富な弁護士が対応してくれるため安心です。
相談は下のリンクから行えます。
ヤミ金(闇金)から借りてしまっている分を何とかできないか?
ヤミ金(闇金)でお金を借りてしまって困っていたらたらすぐに弁護士・司法書士などの専門家に相談しましょう。ヤミ金の返済分さえなんとかなれば他の分を返済していけるとすれば、ヤミ金への返済を止めたり過払分を請求したりすることで借金問題が解決できる可能性があります。
ヤミ金への対応ならウイズユー司法書士事務所がおすすめです。数々のヤミ金融問題を解決してきた豊富な実績のある、奥野正智司法書士の事務所です。
ヤミ金の厳しい取立てや追い込みに悩んでいたら、ウイズユー司法書士事務所に相談すれば即日止めてくれます。相談は無料、電話やインターネットで24時間365日受付ができますのでまずは相談してみるといいでしょう。事務所は大阪ですが、もちろん全国対応しています。
もちろん、闇金問題を取り扱っている弁護士事務所は、他にも多数存在しています。
他事務所をお探しの方は、下記のサイトも参考にしてみてください。
債務整理・借金整理の費用がないとき
どうしてもお金に困っていて、任意整理を専門家に依頼する費用が無い時は、日本司法支援センター(法テラス)に相談してみましょう。法テラスは、民事法律扶助といい、資力の乏しい人に対して訴訟費用や弁護士費用の立替を行う支援業務を行っています。
ただし資力が乏しいなど一定の基準があるため、詳細は確認が必要です。なお、法テラスは全国50箇所に事務所があります。日本司法支援センター(法テラス) http://www.houterasu.or.jp/
それでも自分でやる
それでも自分でやるという場合も、簡易裁判所の前にまずは弁護士会の法律相談センターで相談するといいでしょう。初回相談料は無料です。相談の上で本やマニュアルを読んだり、必要なところは専門家に頼むなども可能です。
日本弁護士連合会「全国の弁護士会の法律相談センター」 http://www.nichibenren.or.jp/contact/consultation/legal_consultation.html
まとめ
今回は、債務整理・借金整理の1つ「特定調停」について解説しました。
- 特定調停とは
- 特定調停のスキーム
- 特定調停のメリットデメリット
- 専門家に特定調停を頼む時の費用
- 債務整理に強いおすすめ法律事務所
についてまとめています。
借金問題は解決できます。ヤミ金からお金を借りたりヤケクソになったりせず、まずは弁護士などの専門家に相談して債務整理・借金整理をしてください。
借金について悩む全ての人に有用な記事になれば幸いです。