ビジネスプラン・事業計画書とは?テンプレート・書き方・作り方

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ビジネスプラン

作成日:2015年12月1日 更新日:2016年2月14日

起業や新規事業の成功と失敗を分けるものは何でしょうか?みんなの教科書では、十分に検討された実現性の高いビジネスプラン・事業計画書を作成することが成功確率を高めるために大切な事だと考えています。

ですが、ビジネスプラン・事業計画書をどう作成するかについてはよく分からない方も多いと思います。そこで今回は、「ビジネスプラン・事業計画書の作成方法について分かりやすく解説します。

 

起業や新規事業の方法と流れ:4つのプロセス

みんなの教科書では、起業や新規事業を4つのプロセスに分けて捉えています。①テーマと課題、②ビジネスアイデア、③ビジネスプラン、④計画の実行の4つです。

起業のプロセス

それぞれのプロセスの内容は、下の表の通りです。

プロセス 内容
①テーマと課題・ニーズ どんな分野で事業を起こすか、そしてその分野にはどんな課題やニーズがあるか
②ビジネスアイデア 課題やニーズをどのように解決するか

③ビジネスプラン・事業計画書

ビジネスアイデアを実現する具体的な計画はどのようなものか
④計画の実行 なるべく小さく始め、顧客や市場の反応を見て、方法を修正したり、場合によっては撤退したりする

今回の記事では、ビジネスプラン・事業計画書について、詳しく解説していきます。

また、みんなの教科書では起業や新規事業のアイデア・ネタをひらめく方法を別記事にまとめています。あわせてお読みください。

みんなの教科書記事 「起業や新規事業のアイデア・ネタをひらめくための3つの方法」
https://minnanokyoukasho.com/kigyo-idea-inspiration

①ビジネスプラン・事業計画書って何だろう?何のために作成するの?

まずはビジネスプラン・事業計画書とは何なのか、そして何のために作成するのかについて解説します。

ビジネスプラン・事業計画書って何?

ビジネスプランとは一言でいうと、ビジネスの設計図です。事業計画書とも呼ばれますが、起業や新規事業を立ち上げる前に事業内容を詳細に書き記したものになります。

しかし、想定外の事が起こったり、予定通りの売上や利益が上がらなかったりすることはよくあることです。そんな時にビジネスプラン・事業計画書を振り返ってみると、作成時と比較してどんな想定外のことが起きたのか、前提がどう異なるのかがわかります。そういう意味では、事業スタート後の進展・計画との違いを確認する「羅針盤」としても使われます。

一般的なビジネスプラン・事業計画書のフォーマット

ビジネスプラン・事業計画書は、事業の規模や種類によって構成やボリュームは様々ですが、一般的なビジネスプランは以下の様なフォーマットで構成されています。

  • エグゼクティブサマリー(ビジネスプランの要約)
  • 経営理念/ビジョン/ミッション
  • ビジネスモデル
  • 事業目標
  • 自社の商品・サービス/市場・顧客/競合企業
  • 技術/マーケティング/資産や設備など経営資源
  • 事業戦略
  • 経営陣
  • 資本計画・EXIT・出資要件
  • 財務状況および損益予測

特にルールがある訳ではありませんが、A4サイズのドキュメントで50枚~100枚程度が標準的なボリュームです。なお、「EXIT」や「出資要件」とあるのは、一般的にビジネスプラン・事業計画書は投資家に投資を募るために作成する場合が多いためです。

ビジネスプラン・事業計画書の構成(みんなの教科書バージョン)

一般的なビジネスプラン・事業計画書の構成は前述の通りですが、ちょっとボリュームが多くてハードルが高いなと思われる方は、みんなの教科書バージョンの構成でのビジネスプラン・事業計画書の作成をまずは目指してみてください。

  • 事業概要(一言で言うと、何をやるのか)
  • ビジョン/経営理念(なぜこの事業を始めたいのか、何を実現したいのか)
  • 市場規模と特徴(全体としてどれくらいの市場のどこを狙うのか)
  • ビジネスモデル(ビジネスの仕組み、なぜこのビジネスは儲かるのか)
  • 3C分析(自社・顧客・競合)
  • 自社 経営資源、なぜこの事業を実行することが可能なのか
  • 顧客 どの顧客をターゲットにして、なぜその顧客を狙うのか
  • 競合 既存競合と潜在的競合、その強さと特徴
  • 事業戦略と展開(将来、どのように事業を展開していくのか)
  • 損益計画と資本計画(黒字化の見込み、必要な資金をどう集めるのか、目先の資金繰りは大丈夫か)

パワーポイント等でスライド20~30枚程度のボリュームになると思います。一般的なビジネスプラン・事業計画書に比べると量は少なくなりますが、必要なエッセンス・本質を抜き出しています。このフォーマットで一度作成して、後はあなたのビジネスプラン・事業計画書作成の目的に合わせて加筆修正するといいでしょう。

今回の記事では、みんなの教科書バージョンのビジネスプラン・事業計画書の構成に沿って解説していきます。

ハウツーサイトnanapiを創業した古川健介さんが、実際に資金調達の際に使った事業計画書(ビジネスプラン)をネットで公開しています。
nanapi(ナナピ) https://nanapi.jp/

ネットで見れる企画書!3億3000万円を調達した「nanapiの事業計画書」を公開します。
http://www.find-job.net/startup/business-plan-of-nanapi

実際のビジネスプランや事業計画書がオープンになるケースはなかなか少ないため、とても貴重な資料です。 ぜひ見てみてください。

また、同じビジネスですが創業時の企画書(ビジネスアイデアとビジネスプランの中間ぐらい)も公開されています。合わせて読むと、起業前の考え方と、起業後に実際にビジネスが展開していくに従って、ビジネスプランがどう変わっていったかがわかる、大変参考になる資料です。

ネットで見れる企画書!創業時の「nanapiのナマ企画書」を公開します。
http://www.find-job.net/startup/proposal-of-nanapi

なお、nanapiを運営する株式会社nanapiは、2014年にKDDIに77億円でバイアウトされ、EXITを果たしています。

ビジネスプラン・事業計画書作成の目的(何のために作るのか)

目的を解説する前に、1点考えてみて欲しいことがあります。ビジネスプラン・事業計画書を作成しないと、ビジネスは始められないのでしょうか?実はそんなことはありません。ビジネスプラン・事業計画書は起業にあたって、作成しなければならないものではないのです。

では、なぜ時間と手間をかけて作成するのでしょうか。それは、聞き手や読み手に何らかの「アクション」を起こしてもらうにビジネスプラン・事業計画書を作成するのです。

目的 聞き手や読み手 内容
資金調達 家族・友人・投資家・企業・金融機関 出資や融資を得るため
人材獲得 必要なスキルを持った人材 事業成長に応じた人材の採用
取引先・提携先確保 取引先・事業提携先候補 事業運営に必要なパートナーの確保
その他 ビジネスコンテストの審査員 ビジネスコンテストへの出場・優勝

この中で、最も多いケースが「資金調達」です。一般的に起業家は乏しい経営資源で起業するため、ビジネスを始めたり軌道に載せたりするために、資金調達が必要になります。

家族やとても親しい友人であれば、「何も聞かずに◯百万出資してくれ!」で通じる可能性もありますが、普通は、いい加減な計画でなくきちんと練られた成功可能性の高い計画を求められます。そのため、ビジネスプラン・事業計画書を作成する必要があるのです。

ビジネスプラン・事業計画書作成の流れ

ビジネスプラン・事業計画書を作成する流れについて解説します。

みんなの教科書では、ビジネスを問題解決と定義しています。つまり、社会や顧客が抱える課題や問題、不便、不安、矛盾を解決するということです。そのため、まずは起業するテーマを探したり、社会や顧客にどんな課題があるかを考えたりして、見つけた課題や問題をどう解決するかを考えていくことからスタートします。

  • テーマを探す(どんな事業分野で起業するか)
  • 課題・ニーズを見つける(選んだテーマにどんな課題や問題・ニーズがあるか)
  • ビジネスアイデアを考える(どのように課題・ニーズを解決するか)
  • ビジネスモデルを考える
  • 事業環境、市場概要の調査を行う
  • 3C分析(自社、市場、競合)を行う
  • 損益計画と資本計画を立案する
  • 将来の事業展開を考える

おおまかに言うと、このような流れになります。

ビジネスプラン・事業計画書のブラッシュアップ

ビジネスプランを1回作成したらそれで終わりではありません。沢山の人にプレゼンテーションしたりヒアリングしたりしてフィードバックをもらい、調査やテストマーケティングにより仮説検証を繰り返し、何度も何度も書き直します。

どうしたら成功するか、どうしたら失敗しにくいか、様々な可能性を考慮しながらビジネスプランをブラッシュアップしていきます。ビジネスプランは書き直す度に実現可能性が高くなると考えてください。

ビジネスプランのブラッシュアップ

みんなの教科書では、人にプレゼンテーションやヒアリングしてアイデアやプランをブラッシュアップする方法を別記事にまとめています。あわせてお読みください。

起業@みんなの教科書記事 「ビジネスの起業アイデア・ネタの成功確率を高める4つのコツ」
https://minnanokyoukasho.com/kigyo-idea-method

②ビジネスプラン・事業計画書を読んでもらうために!事業概要

事業概要は、ビジネスプラン・事業計画書の要約と考えてください。ビジネスプランの構成要素から、読み手や聞き手に最も伝えたいエッセンスを抽出したものになります。そのため、基本的には全て作成した後に事業概要を作ることができます。

なぜこの事業概要をはじめに持ってくるのでしょうか。それは、「読み手にビジネスプランを読んでもらうため」です。

ビジネスプラン・事業計画書を作成する目的は様々ですが、もっとも多いケースが資金調達、すなわち、投資家やベンチャーキャピタル(スタートアップやベンチャー企業に比較的初期段階から投資し、ハイリスクハイリターンを狙う投資会社)、金融機関に投資や融資をしてもらうケースです。

通常、投資家やベンチャーキャピタル・金融機関の担当者は非常に忙しく、1日に何十件ものビジネスプランや事業計画書を読んだり聞いたりします。そのため、全てを詳細まで目を通すことはせず、まず要約を見てざっと目を通してこの先読み進めるかを判断することが多いです。

この最初の判断に通らなければ、ビジネスプラン・事業計画書を読んでもらえない=投融資の対象にならないため、最初に事業概要を書くべきなのです。

また、投資家やベンチャーキャピタル、金融機関の担当者も、どんな分野や事業内容でもいいから投融資したいのではなく、担当者や会社が知識や知見のある特定の業界や分野に関する投融資案件を検討したいという場合が多く、そういった意味でも事業概要は必要になります。

1日に何百件ものビジネスプラン・事業計画書に目を通す投資担当者もいます。知人のベンチャーキャピタリスト(ベンチャーキャピタルの投資担当者)に聞いたところ、彼がまず目を通すのは「マネジメントチーム(経営陣)」だそうです。マネジメントチームの経歴やバックグラウンドを見て、その先読み進めるかどうか判断するということです。

この事業概要を作成するときにぜひ意識して欲しいのが、「一言でいうと何をやるのか」ということです。あなたが起業家として興したい事業は、端的にいうとどんなビジネスなのか、言い換えれば、既存のビジネスと何が同じで何が違うのか、常に意識してください。

「一言でいうと何をやるのか」を明確にすることは、ビジネスプランを作成することのみならず、プレゼンテーションやチームメンバーの方向性を合わせることなどにも大変役にたちます。

あなたは、エレベーターピッチという言葉をご存知でしょうか?

ITを中心としたベンチャービジネスの中心地であるシリコンバレーでは、沢山の野心のある起業家やスタートアップが、自分のアイデアやプランをもとに起業して成功しようと考えています。

多くの場合、ビジネスを発展させるには資金が必要で、起業家にはアイデアはあっても資金がないことが多いです。そのため、起業家は、パーティやイベント、様々な集まりやコミュニティを通して、投資家と出会い投資を得るチャンスを狙っています。

しかし、投資家は通常大変忙しく、簡単にアポイントが取れません。また、海のものとも山のものともつかないアイデアを話そうとする起業家に、なかなかまとまった時間を作ってくれないのが普通です。

そのため、起業家は「エレベーターに乗っているぐらいの短い時間(30秒ぐらい)」で、投資家に自分のアイデアやプランが優れていて、大きなお金を生み出す可能性があることをプレゼンテーションしなければならないのです。また、起業家はその短い時間で、投資家にもっと話を聞きたいと思わせたり投資したいと考えさせたりしないといけないのです。

エレベーターピッチとは、起業家が1階のエレベーター前で投資家をつかまえて、パーティやイベント会場のあるフロアまで上がる間に、エレベーターの中で自分のアイデアやプランをプレゼンテーションするという例えから生まれた言葉です。

エレベーターピッチで話すべき内容は、起業家がやろうとしているビジネスの大きさ、顧客ニーズや社会的課題と解決する方法・技術、競合や代替品、投資に必要金額などになります。

ビジネスプランをここまでの短時間でプレゼンテーションする機会が必要になるかどうかはわかりません。ただし、今後様々な人に、あなたが行おうとしているビジネスプランを話すことは必要になります。そのため、「一言でいうと何をやるのか」を意識して、いつでも説明できるようにしておきましょう。

プレゼンテーション資料をスマートフォンで見られるようにしておき、常にプレゼンテーションできるようにしておくのも良い方法です。

③共感を呼ぶビジネスプラン・事業計画書にするには!ビジョンと経営理念

あなたはなぜこの事業を始めたいのでしょうか。また、この事業を通して何を実現したいのでしょうか。この答えが、ビジョンや経営理念になります。

ビジョンとは

ビジョンとは、起業家が考える理想の企業の姿のことで、将来どんな会社にしたいのかを言葉で表したものです。逆に言えば、起業家にとっては、事業を通してビジョンを実現することが起業の動機であり目的になります。ビジョンは将来実現したい企業のありかたなので、ビジョンを実現するための要素を洗い出し、曖昧でなく明確な目標をたててそれを実行する必要があります。

この、どうしたらビジョンを達成できるかを具体的な方法にしたものがビジネスプラン・事業計画書であり、計画を実行することで、起業家はビジョンを実現することができます。あなたは、どんなビジョンを持っているでしょうか。また、そのビジョンを実現することで、世の中や社会はどう変わるのでしょうか。

ビジョン

経営理念とは

経営理念とは、企業や組織の目的は何か、何のために・どのように経営を行うのか、将来どのような会社にしたいのかなどを、言葉で表したものです。

起業家は、経営理念を通して、基本的な会社や経営のありかたを社内外に伝えることができます。社外の人にとっては、その会社がどんな会社かわかるようになりますし、従業員にとっては行動の指針になるものです。

経営理念の内容は会社によっても異なり、目的や目標であったり経営姿勢であったり行動規範であったり存在価値であったり様々です。通常は、ステークホルダーに対する姿勢や考え方が示されることが多いです。

いくつか代表的な会社の経理理念の例をご紹介します。会社によっては、企業理念のことをミッションやミッション・ステートメントと呼ぶことがあります。厳密に言うと意味合いが変わる場合もありますが、みんなの教科書では同じ意味に取り扱います。

・ サイバーエージェント
インターネットという成長産業から軸足はぶらさない。ただし連動する分野にはどんどん参入していく。スケールデメリットは徹底排除。「チーム・サイバーエージェント」の意識を忘れない。本音の対話なくして最高のチームなし。採用には全力をつくす。有能な社員が長期にわたって働き続けられる環境を実現。若手の台頭を喜ぶ組織で、年功序列は禁止。法令遵守を徹底したモラルの高い会社に。ライブドア事件を忘れるな。ネガティブに考え、ポジティブに生む。自分の頭で考え、オリジナルを創り出す。世界に通用するインターネットサービスを開発し、グローバル企業になる。

・ 電通
「その手があったか」 と言われるアイデアがある。
「そこまでやるか」 と言われる技術がある。
「そんなことまで」 と言われる企業家精神がある。
私たちは3つの力でイノベーションをつくる。
人へ、社会へ、新たな変化をもたらす
イノベーションをつくってゆく。

・ CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)
・ ブランドステートメント
 「カルチュア・インフラ」を、つくっていくカンパニー。
・ ビジョン
 世界一の企画会社
・ ミッション
 私をおもしろくする会社
・ 事業ドメイン
 生活提案
・ 価値観
 自由・約束・プロ・個客中心
 信頼・感謝・感性・夢
・ CCCグループの行動規範
 顧客を一番知っている人間になる。
 顧客の言うことを聞くな、顧客のためになることをなせ。
 顧客に「ありがとう」と言われる仕事をする。
 自分の志で人生をつくり、世界一流になれる仕事の領域を持つ。
 約束は誇りにかけて守る。やり切る。できない約束は悪をつくる。
 その場で決断する。問題をのばすことが問題になる。
 現場・現物・現実の情報を組み合わせる。
 会社にいるな、世の中にいろ。
 好感度人間たれ。好かれなければ情報は集まらない。
 企画、企画、企画。勇気、勇気、勇気。
 失敗を恐れない、その先に成長がある。
 出を制して、入るを図る。
 以上を、今日、行動せよ。

・ トヨタ

  1. 内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす
  2. 各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する
  3. クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む
  4. 様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する
  5. 労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる
  6. グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす
  7. 開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現する

いかがでしょうか。企業によって、内容も表現も様々あるのがわかると思います。経営理念はこうでなくてはならない、という決まりはありません。起業家や経営者の考えを明文化し内外に示すために、最も良い形式や表現を選べば良いのです。

ビジョンや経営理念の必要性

こうしたビジョンや経営理念を言葉にすることには、どんな意味があるのでしょうか。何のために、あえて言葉にしておく必要があるのでしょうか。

一つは、ステークホルダー(企業に様々な形で関わる利害関係者。従業員、顧客、取引先、投資家、株主、金融機関、地域住民などが該当します。)に意思表示するためです。

起業して間もない時期だと、成功するかどうかも見通しが立たない上に、経営資源が乏しい中、少ない報酬でも事業運営に協力してもらう必要がでてきます。そうした状況で、創業メンバーや従業員として事業に協力してもらうためには、起業家の思い(何のために起業するのか、どんな会社を作りたいのか等)に共感してもらうことが必要になります。

また、リスクが高く失敗の高い分野で投資家から投資を集めるためにも、ビジョンや経営理念を示して、事業の意義を伝える必要があります。

もう一つは、起業してビジネスが順調に成長した後でも、事業展開の道標になるということです。

事業を運営していくと、次々に起こる目の前の課題に対応していくことが必要になります。始めに考えていた思いがぶれてきたり、メンバーの間での意見が衝突したり、判断に迷う局面が出てきます。こうした時に、経営理念を振り返り、自分たちが何のためにビジネスを立ち上げたのか、自分たちが何をして何をやらないかを確認することで、会社の進むべき方向性がはっきりします。

また、ビジョンというあるべき姿があると比較することで現状不足している点が分かりますし、ビジョンというゴールがあるからそれに向けて何をしたらよいかを考えられるのです。

世界的に大きな製薬企業である、ジョンソン・エンド・ジョンソンは、経営理念を「我が信条(Our Credo)としてまとめています。おそらく、世界で最も有名な経営理念かもしれません。以下に全文をご紹介します。

我々の第一の責任は、我々の製品およびサービスを使用してくれる医師、看護師、患者、そして母親、父親をはじめとする、すべての顧客に対するものであると確信する。顧客一人一人のニーズに応えるにあたり、我々の行なうすべての活動は質的に高い水準のものでなければならない。適正な価格を維持するため、我々は常に製品原価を引き下げる努力をしなければならない。顧客からの注文には、迅速、かつ正確に応えなければならない。我々の取引先には、適正な利益をあげる機会を提供しなければならない。

我々の第二の責任は全社員 ――世界中で共に働く男性も女性も―― に対するものである。社員一人一人は個人として尊重され、その尊厳と価値が認められなければならない。社員は安心して仕事に従事できなければならない。待遇は公正かつ適切でなければならず、働く環境は清潔で、整理整頓され、かつ安全でなければならない。社員が家族に対する責任を十分果たすことができるよう、配慮しなければならない。社員の提案、苦情が自由にできる環境でなければならない。能力ある人々には、雇用、能力開発および昇進の機会が平等に与えられなければならない。我々は有能な管理者を任命しなければならない。そして、その行動は公正、かつ道義にかなったものでなければならない。

我々の第三の責任は、我々が生活し、働いている地域社会、更には全世界の共同社会に対するものである。我々は良き市民として、有益な社会事業および福祉に貢献し、適切な租税を負担しなければならない。我々は社会の発展、健康の増進、教育の改善に寄与する活動に参画しなければならない。我々が使用する施設を常に良好な状態に保ち、環境と資源の保護に努めなければならない。

我々の第四の、そして最後の責任は、会社の株主に対するものである。事業は健全な利益を生まなければならない。我々は新しい考えを試みなければならない。研究開発は継続され、革新的な企画は開発され、失敗は償わなければならない。新しい設備を購入し、新しい施設を整備し、新しい製品を市場に導入しなければならない。逆境の時に備えて蓄積を

行なわなければならない。これらすべての原則が実行されてはじめて、株主は正当な報酬を享受することができるものと確信する。

ジョンソン・エンド・ジョンソンHPより https://www.jnj.co.jp/index.html?nv=head

我が信条は、企業のステークホルダーに対する責任を具体的・簡潔に言葉で表したものです。株式会社であれば、事業資金を投資してもらっている株主を第一に考えても良さそうなものですが、ジョンソン・エンド・ジョンソン社では、顧客→従業員→地域社会→株主の順に定義しています。この顧客重視の姿勢が、いざという時にとても役に立ったエピソードがあります。

1982年タイレノールという商品に毒物が混入され複数人の死者が出るという事件が起こりました。ジョンソン・エンド・ジョンソン社は、「タイレノールに毒物が混入された疑いがある」とされた段階、すなわち、まだ死亡原因として確定していない段階で、テレビや新聞での大規模な告知を行うとともに社内体制の整備を行い、全製品の回収を速やかに行いました。

もちろん、大きなコストと損害が発生しましたが、迅速な対応と、企業の利益ではなく顧客の生命を守ることを第一に考えているという姿勢は、消費者に大変評価されました。事実、包装方法の変更により毒物が混入できないような改良を行った後は、すぐに売上を回復することができたそうです。

こうした突発的な事件に対応するマニュアルは、当時のジョンソン・エンド・ジョンソンには無かったそうです。それにも関わらずこうした対応ができたのは、経営理念である「我が信条」が経営時・従業員に行動指針として根付いていたからです。

ビジョンや経営理念の重要性は、ビジョナリー・カンパニーという本で説明されています。卓越して長く継続する企業(ビジョナリー・カンパニー)は、定義した経営理念を常に一貫して実践し、人々の事業への貢献を動機づけています。

「ビジョナリー・カンパニーの目標は様々で、利益を得ることはそのなかのひとつにすぎず、最大の目標であるとはかぎらない。確かに、利益を追求してはいるが、単なるカネ儲けを超えた基本的価値観や目的といった基本理念も、同じ様に大切にされている。しかし、不思議なもので、利益を再優先させる傾向が強い比較対象企業よりも、ビジョナリー・カンパニーの方が利益をあげている。」

「決定的な点は、理念の内容ではなく、理念をいかに深く『信じて』いるか、そして、会社の一挙一動に、いかに一貫して理念が実践され、息づき、現れているかだ。ビジョナリー・カンパニーは、『何を価値観とするべきか』と問いを立てることはない。『われわれが実際に、何よりも大切にしているものは何なのか』という問いを立てる。」

「ビジョナリー・カンパニーは、基本理念を信仰に近いほどの情熱を持って維持しており、基本理念は変えることがあるとしても、まれである。ビジョナリー・カンパニーの基本的価値観は揺るぎなく、時代の流れや流行に左右されることはない。(中略)ビジョナリー・カンパニーの基本的な目的、つまり、存在理由は、地平線の上で輝き続ける星のように、何世紀にもわたって、道しるべになることができる。しかし、ビジョナリー・カンパニーは、基本理念をしっかりと維持しながら、進歩への意欲がきわめて強いため、大切な基本理念を曲げることなく、変化し、適応できる。」

ジェームズ・C・コリンズ、ジェリー・I・ポラス「ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則」より

ビジョンや理念は企業にとって大変重要なものであることが分かると思います。

④対象となるマーケットをおおまかに捉える!市場規模と特徴

ここでは、起業のテーマとする業界や狙っていく市場について、規模や特徴を大まかに捉えていきます。

市場規模とターゲット

起業のテーマとなる業界は、全体としてどれくらいの市場規模があるかを調べてみましょう。また、その中で自分が狙っていく市場がどれくらいの大きさなのかも把握しておきましょう。

市場規模

市場規模とは、ある商品やサービス、業界等の1年間の売上高で示されます。

市場規模の推定は、売上を構成する要素をいくつかに分解して、計算式をたててみることで行います。例えば、“売上=顧客数×購入単価×購入頻度”という式です。

上の式では、「全体として何人ぐらいお客さんがいて、1回でいくらぐらいつかってくれて、どのくらいの頻度で買ってくれるか」を考えると市場規模が計算できます。

また、多くのビジネスや業界において、シンクタンク等の調査機関が業界別の市場規模を試算していますので、それを参考にしてみるのもいいでしょう。

市場規模をデータで入手できない場合、フェルミ推定と呼ばれる方法で市場規模を推定します。

フェルミ推定とは、特定しづらい数や調査することが難しい数をある要素に分解し、それぞれのおおよその数を推定して全体的なおおよその数を推定する方法です。

例えば、日本のラーメン店の市場規模をフェルミ推定で推定します。

1.日本の人口を約1億2,000万人・平均寿命を80歳として、ラーメン店に行く人を10歳から65歳までの55歳分の8,000万人とします。
2.よく食べる人を1,000万人、普通に食べる人を6,000万人、あまり食べない人を1,000万人と推定します。
3.ラーメン店に行く頻度を、よく食べる人で月に1回=年12回、普通に食べる人を2ヶ月に1回=年6回、あまり食べない人で年に2回とします。
4.ラーメン店の客単価を1,000円とします。

・ よく食べる人 1,000万人✖年12回✖1,000円=1,200億円 + 
・ 普通に食べる人  6,000万人✖年 6回✖1,000円=3,600億円 + 
・ あまり食べない人 1,000万人✖年2回✖1,000円=200億円 + 
・ ラーメン店の市場規模 5,000億円 と推定できます。

実際は約6,000億円だそうですが、あくまでおおよその数をつかむ必要ある場合の方法です。

ターゲット

ターゲットとは、全体の市場の中で自社が狙っていく市場になります。全体の市場といっても、実際には同じ顧客と同じニーズで構成されている訳ではなく、市場は多様なニーズで構成されている場合が多いのです。

そのため、市場細分化(セグメンテーション)が必要になります。市場細分化とは、多様性のある顧客を、いくつかの切口で細かく分類し、それぞれに属する顧客の共通点を見つけだし、似たようなニーズを持つグループに分けていくことです。そして、その細分化されたグループの中から、自社が狙っていくグループを考えていきます。

市場細分化については、3C分析の“顧客“で後述します。

市場特性

市場特性とはその市場の特徴のことですが、2点考えておきましょう。

KFS(Key Factor for Success

KFS

KFSとは、その事業において成功するためのカギとなる要因のことです。事業が属する業界や産業によって、「先行者有利」「クチコミが重要」「規模の経済性がはたらく」「ブランドイメージが大切」など、成功するための要因は異なってきます。

例えばファストフードやコンビニエンスストアであれば、まず「好立地」ということがKFSになってくるでしょう。インターネットサービスやアプリケーションであれば、「インターフェースの操作性」がKFSかもしれません。

自社が行う事業においてKFSを実現できるかは、起業して成功できるかどうかの大きな要素になります。

KBF(Key Buying Factor

KBF

もう1点、KBFと呼ばれる要素も考えておきましょう。

KBFとは、顧客が最終的にその商品やサービスを選ぶときの要因のことです。事業が提供する商品・サービスによって、「価格」「デザイン」「手に入れやすさ」「扱いの簡単さ」「重さ」「スペック」など、顧客が購入にあたり重視する要因は異なってきます。

自社が提供する商品・サービスの設計においては、もちろんこうした顧客が重視する要因を重視して設計する必要があります。

業界調査・情報収集

これらの市場規模やターゲット、市場特性を把握するにあたり、業界調査・情報収集を行う必要があります。基本的には、本や新聞雑誌、インターネットから情報を収集していきます。

どうやって調べるのか?

情報収集や調査は、業界に関して書かれた本、雑誌、新聞記事、上場企業のホームページ、インターネット情報サイト、業界の「なかのひと」のブログなどが参考になるはずです。

上場企業のホームページには、投資家向けページ(IR)があり、企業概要や決算書などの情報が無料で閲覧できます。また、ネット証券会社に口座を開くと、投資情報と一緒に様々な情報が入手できます。

インターネット情報サイトも、あなたが考えるテーマにおいて、様々なメディアがあります。例えば、新しいビジネスについて情報収集するのであれば、下記のようなサイトです。

情報収集はニュース配信サービスやキュレーションサービスで、関心のあるテーマの情報を収集するという方法もあります。

何を調べるのか?

調べる内容についてですが、ビジネスプランを作成するにあたり、以下の様な情報は把握しておくべきでしょう。

  • 業界の構造
  • 業界のビジネスモデル
  • 商品・サービスの種類
  • 競合を含めたプレーヤー
  • 市場規模、収益性、成長性
  • 起業創業・独立開業に必要な情報

起業することそのものに必要な情報がまとまったサイトもあります。

ひとつは、「業種別開業ガイド」です。政府系金融機関の日本政策金融公庫が、業種別の創業時のポイントや事業計画の書き方等を紹介しています。特に、日本政策金融公庫から融資を検討している場合は目を通しておきましょう。

業種別開業ガイド http://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/sougyou03.html

もうひとつは、J-Net21です。独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営している、中小企業向けポータルサイトです。補助金や助成金を中心とした情報が多いのが特徴ですが、その中の業種別スタートアップガイドは、「市場調査手法」「経営・開業計画の書き方」「販促手法」「法律知識」「経理・財務」など起業に必要な情報が網羅されており、大変役立ちます。

・ J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト http://j-net21.smrj.go.jp/index.html

また、起業の失敗事例を経済産業省がまとめています。

本データベースには、平成19年度にベンチャー企業にインタビュー調査を実施して収集した83の失敗、トラブル、ヒヤリとした経験に関する事例を掲載しています。事例は、ベンチャー企業の成長ステージや失敗、トラブル、ヒヤリとした経験の原因及び結果といった分類項目をもとに検索が可能となっています。
ベンチャー企業の経営危機データベースより 
http://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/kikidatabase/

なかなか起業の失敗例を話を聞く機会を得ることは難しいので、こうしたコンテンツにも目を通しておくとビジネスプラン作成の参考になります。

⑤ビジネスプランのポイント!ビジネスモデル

ビジネスモデルとは、一言でいうと「どのように価値を創造して顧客に届けるかを論理的に記述したもの」ということになります。言い換えれば、「顧客に商品やサービスを提供し、顧客が認める価値の対価を得る仕組み」ということになります。

ビジネスモデル

ビジネスモデルのポイント

ビジネスモデルのポイントは、どんな経営資源(ヒト、モノ、カネ)を使って、どのように価値を生み出し、どうやって顧客に届け、対価としてどのように収益を得るかということです。

経営資源

経営資源とは、ヒト・モノ・カネとよく言われます。事業を起こすため、あるいは事業を継続するために必要な経営資源は何でどれぐらい必要なのか。現在不足しているとしたら、どのようにどのように調達するかを考えてみましょう。

経営資源 内容
ヒト 人材 創業メンバー・従業員(どんな知識、経験、能力を持つ人材が必要なのか)
人脈 取引先・事業提携先・広報など社内外のネットワーク
モノ

商品・サービス

自社が提供するもの

店舗・設備・備品・機械や工場など

商品・サービスを生み出すために必要なもの

カネ 初期投資 事業を開始する段階で必要な資金
運転資金 事業を運営するために必要な資金

バリューチェーン

起業家は事業を立上げ、商品やサービスを生み出し、価値を創造し顧客に届けます。

バリューチェーン

上の図は、メーカーが研究開発からアフターサービスまで、商品を生み出して顧客に届ける流れを表したものです。こうした図をバリューチェーンと呼びます。このそれぞれのプロセスで、どんな手段や方法を選ぶか、これによりビジネスモデルが変わってきます。

例えば生産を例にとれば、自社で企画し自社で生産する方法があります。他に、企画は自社でするが他社に製造は委託するとか、企画から他社に任せるなどの方法があります。

販売についても、自社で店舗を持ち直営店で販売する方法もあれば、卸、訪問販売、通信販売、インターネットなど様々な方法があります。

対価を得る方法も、例えば下のようにいろいろあります。

  • 商品を売る、サービスを提供する
  • サービス利用料を取る(プラットフォーム等)
  • 会費を取る(入会金、定期会費)
  • レンタル料、リース料
  • ライセンス
  • コンサルティング

こうしたそれぞれのプロセスで考えられる様々な手段や方法を検討し、最も適切なものを組み合わせてビジネスモデルを構築します。

ビジネスモデルを構築するにあたって、どのように収益を得るかというのは一つの大きな考えるポイントになります。
自分の好きな商品やサービスを提供する会社や、世の中の様々な企業のビジネスモデルを研究し、自社のビジネスモデル構築の材料にするのはとても良い方法です。また、斬新なビジネスモデルであれば、他の業界で活用できないだろうか?なども考えてみましょう。

どこで稼ぐかという事も大事なビジネスモデルのポイントです。髭剃りメーカーのジレットは、それまで一体型しかなかった髭剃り用カミソリを、持ち手と替刃に分けて販売しました。持ち手部分はタダ同然にして、自社の替刃のみ取り付けられる形状にすることで、持ち手部分では利益が出なくても、替刃が売れる度に儲ける仕組みを構築しました。

同じように、キヤノンは、プリンター本体を比較的安価にして普及させ、原価の低いインクを「純正品」として利益を得る仕組みを構築しています。

近年、ビジネスモデルの中でもフリー(無料)ビジネスモデルも多数登場しています。こうしたビジネスモデルも参考になると思います。

フリービジネスの戦略 内容
直接的内部相互補助 あるモノを無料かそれに近い値段にして集客し、他の利益が取れる商品を販売する
  • ひとつ買うともうひとつは無料(スーパー)
  • 25ドル以上の注文で送料無料(amazon)
  • 駐車無料(ショッピングモール)
三者間市場あるいは市場の“二面性” ある顧客グループが別の顧客グループの費用を補う
  • 発行は無料で商店から決済手数料(クレジットカード)
  • 女性は入場無料・男性は有料(バー)
  • 旅行サービスは無料・レンタカー会社やホテルからキックバックを受ける(旅行サイト大手のトラヴェロシティ)
フリーミアム 一部の有料顧客が他の顧客の無料分を負担する
  • お得意さん以外には高く売って、お得意さんに安く売る赤字分を補填する(コストコなどの会員制チェーン店)
  • デモ版は無料・完全版は有料(ほとんどのテレビゲーム)
  • コンピュータ同士の通話は無料・コンピュータと電話の通話は有料(スカイプ)

クリス・アンダーソン「フリー <無料>からお金を生み出す新戦略」より

ビジネスモデルは、始めに採用したビジネスモデルを踏襲し続ける必要はありません。ビジネスの状況に応じて、変更していくケースもあります。

ビジネスモデルを変更した例として、アメリカのiFixit社の事例をご紹介します。

iFixit社は、もともとアップルのパソコンの修理サービスを行っていました。顧客から故障したPCを預かり、自社で修理して、対価として修理代金を取るビジネスモデルです。

しかし現在では、iPhone等のデジタルデバイスの修理方法を、画像やテキストで分かりやすく説明するサイトを運営しています。このサイトを利用して修理方法を見ることは無料なのです。

ではiFixit社が現在どのように収益をあげているかというと、実は修理に必要な道具や部品を販売することで収益を得ているのです。

もともとDIYなど自分で修理したり作ったりする文化のあるアメリカならではのビジネスとも言えるかもしれませんが、同じデジタルデバイスに関する事業でも、ビジネスモデルは様々な可能性があることがわかると思います。

iFixit http://www.ifixit.com/

 

このように、ビジネスモデルはビジネスプランの中でも重要なポイントです。下の本は起業@みんなの教科書オススメのビジネスプランについての本です。ビジネスモデルを実際どう考え作っていくかを分かりやすく解説しています。

⑥客観的に分析することで成功可能性を高める!3C分析

3C分析とは、自社をとりまく外部環境(顧客と競合)を分析し、自社の競争戦略を構築するためのフレームワークのことです。それぞれの英語Company・Customer・Competitorの頭文字を取って3Cと呼ばれます。

3C

3Cの要素をそれぞれ詳しく解説していきます。

顧客(Customer

顧客については、自社のビジネスが対象としている顧客について、顧客は誰なのか、どこにいるのか等、具体的に想定・イメージできるレベルまで絞り込むことが重要です。

たまに、「私のビジネスは老若男女世界中の人が顧客です」と言う起業家がいます。これは、もちろんヒト・モノ・カネの経営資源が無尽蔵にあれば不可能ではない話なのですが、一般的に起業家には限られた経営資源しかないのが普通です。

例えば、自社の商品・サービスの存在を知ってもらう広告ひとつとっても、老若男女世界中の顧客を対象にするためには、莫大な広告費がかかります。そのため、全ての顧客を狙っていくことは現実的ではありません。

限られた経営資源を有効に活用するためにも、顧客を細分化し、最も可能性があり重要な顧客は誰なのかを考え、特に起業初期については集中的にその顧客を狙っていくべきです。

戦略とは捨てること、すなわち、何をして何をしないのかを決めることです。全ての顧客を狙うというのは、戦略をたてていないことと同じことなのです。

顧客細分化(セグメンテーション)

顧客をいくつかの切口で細分化し、分類することを顧客細分化(セグメンテーション)と言います。

  • 地理的変数  都市部と郊外、近隣と遠距離・・・
  • 人口動態   男女、年齢、既婚・未婚、収入・・・
  • 心理的変数  スポーツ好き、保守的・・・

対象となる顧客や市場は、多くの場合数多くのニーズの集合であり、様々な嗜好や性格の顧客の集合体です。そのため、あなたの事業で提供する商品やサービスが、これら全ての消費者のニーズを満たすとは考えにくいのです。

効率よく経営資源を使うためにも、顧客や市場を細分化し、自社が狙っていく顧客グループを特定していきましょう。

ランドセルのトップメーカーでセイバンという会社があります。

セイバン社は、毎年、新製品開発は夏までに終わらせてTVCM広告は夏から実施しています。ランドセルを使う子供たちが小学校に入学するのは4月で、直前に間に合えば良いような気もしますが、なぜ夏までに企画開発・製造し、広告宣伝を行うのでしょうか?

実は、これには顧客分析で重要な「顧客は誰なのか」という考えが背景にあります。

実際にランドセルを使うのは子供なのですが、祖父母から孫への贈り物として購買されることが多く、セイバンがアピールすべき顧客として認識しているのは、祖父母なのです。

そのため、孫が父母と帰省する夏休みに、祖父母にPRするために夏までに企画開発・製造を行い、大規模なテレビCMを打っているという訳です。

セイバン

セイバン  http://www.randoseru.ne.jp/

顧客の声を聞く

顧客や市場を細分化し、狙うべき顧客層が明確になれば(仮説段階だとしても)、徹底的に顧客が抱える課題や問題、ニーズを把握しましょう。

そのためには、顧客や顧客候補をよく観察して実際にヒアリングしてみるのが良い方法です。

  • アンケート
  • グループインタビュー
  • 観察や実験

ビジネスアイデアの段階でもそうですが、顧客候補に自社の商品・サービスを話したり、試作品を使ってもらったりして、意見や感想を聞いてみることが大切です。

どんなに売れそうに思った商品・サービスでも、市場に出すまでは仮説に過ぎません。実際に顧客の声を聞くことが、成功可能性を高める方法です。

競合(Competitor

ビジネスはほとんどの場合競争が発生します。競争のない市場をブルー・オーシャンといいますが、なかなか見つけるのは難しいと思います。

そのため、自社が目指す事業において、どんな競合がいて、潜在的な競合はどこになるかを知るとが、競争に勝つためには大切なことです。

狙っている市場にはどんな競合他社が何社(何店)ぐらいいるのか、また、潜在的な競合はどこが該当するだろうかを考えていきましょう。また、競合の特徴や戦略、強みや弱みを下の表のようにまとめて、自社と比較することで、自社が狙っていくことが見えてくることもあります。

項目  自社  競合A社 競合B社 競合C社
商品 品質高い 品質高い 品質低い 品質高い
価格 普通 安い 普通 高い
知名度
流通 インターネット  量販店   通信販売  直営店 

競合と自社とでは、何が同じで何が違うのかを明確にすることが重要です。

参入障壁

参入障壁とは、ある市場に新規に参入する企業にとって、障害となるもののことです。競合というよりも市場特性になるかもしれません。

参入障壁の例として、規模の経済性、法規制、特許、先行企業のブランド等が上げられます。例えば、規模の経済性(生産数量や規模を大きくすればするほど製造コストが下がり企業にとって利益だ出しやすくなること)が働く業界であれば、大資本で企業規模が大きい会社が有利なため、新規参入が難しくなるといった特徴です。

寡占度

寡占度とは、ある市場がどれくらいの少数の企業に支配されているかを表したものです。こちらも競合というよりも市場特性とも言えます。

一般的には、寡占度が高い=少数の企業が大きなシェアを占めている と新規参入が難しい傾向にあると言われています。

自社(Company

3C分析の最後が、自社になります。自社分析については、基本的には、3C分析の他の2つの顧客と競合分析結果をもとに、自社がどうすべきかの戦略を立案するために行います。

まずは経営資源の把握を行います。今、自社が持っている経営資源(ヒト・モノ・カネ)について、ひとつひとつ洗い出します。

次に、社会、顧客の課題や問題を解決するには、どんな経営資源が必要だろうかを考えていきます。通常、現在の経営資源では不足する場合がおおいので、不足をどう調達するか、不足に対してどう工夫するかを考えていきます。

また、競合との競争に勝つためにはどんな戦略がいいかを考えます。戦略とは捨てることです。何をして、何をしないのかを明確にしていきます。

⑦段階的に成長していく計画にする!事業展開

どんな大企業も、はじめは乏しい経営資源でスタートしています。現在世界中に支店や支社を持ち、多数の事業で多角的に活動している企業も、まずは小さい事業からスタートしているのです。

起業家の思いや構想が多岐に渡っているとしても、起業してすぐに何でもできる訳ではありません。今すぐにできなくても段階的に成長していくことで実現するプランにしていきましょう。

企業は事業活動を通して儲け(利益)を出していきます。そして事業活動で得た利益を元に、それを次の事業に投資していきます。

利益と再投資

下の図は、アンゾフマトリックスと呼ばれる、企業の事業展開の方向性と戦略を考える際に使われるフレームワークです。

アンゾフマトリックス

初めは左下のゾーン、既存製品を既存市場に展開しています。ここでは、市場シェアを高めること、すなわち「市場浸透」を狙っていきます。

ある程度の市場シェアを獲得したり成長に陰りが見え出したりすると、企業は新規事業に進出することを検討します。しかしその際に、いきなり右上の「多角化」新規市場に新規製品で参入するには、経験やノウハウがないためハードルが高いのが一般的です。

そのため、まずは左上の既存製品を新規市場に展開する「市場開拓」で経験を積むか、右下の既存市場に新規製品を展開する「新製品開発」を実施してから、右上の多角化の道を選択すべきという考えです。

例えば、郊外のロードサイドで展開するラーメン屋のビジネスプランで考えると、「市場開拓」は同じラーメンを都市部の店舗で展開することになり、「新商品開発」は同じ店舗でラーメン以外の商品、例えばカレーを販売することになります。「多角化」は都市部の店舗でカレーを販売することになります。

⑧本当にそのビジネスで利益が出るのか検討する!売上利益計画

企業の目的は、事業活動を通して儲け(利益)を出すことです。顧客からもらう収益、つまり売上がそのまま利益になる訳ではなく、売上から費用を引いたものが利益になります。

企業は顧客に商品やサービスを提供して対価=売上を得ることができます。この商品やサービスを提供するにはコストがかかり、また、企業活動を維持するコスト=費用がかかってきます。この売上から費用を引いたものが利益です。

ビジネスプランでは、実際に起業する前に、事業活動によってどのぐらいの利益を出すかを予測し計算してみる必要があります。どんなに高尚な理念を掲げていても、利益があがらないと企業活動が維持できなく、起業家が達成したビジョンは実現できません。

売上高を試算する

ラーメン屋のビジネスを例に考えてみましょう。

売上高を試算するにあたっては、売上を要素に分解して計算してみます。詳細がわからない部分は、業界調査による情報などを元に仮説として置いてみて計算します。

ラーメン屋の1ヶ月の売上高は、以下のように順に細かく分解できます。

  • 1日の売上高×1ヶ月の営業日数
  • 客単価×1日の客数×1ヶ月の営業日数
  • (注文点数×点単価)×(席数×回転率)×1ヶ月の営業日数

このように売上高が分解できたら、それぞれの要素に具体的な数字を入れていきます。

例えば客単価であれば、ラーメン1杯500円+トッピング100円(半数)+替え玉100円(半数)とすると、平均単価は600円ぐらいかな?とか、客数であれば、席数は15席で平均食事時間が20分、11時~14時までは4回転ぐらいかな?などと推定していきます。

売上高を分解した際に、各要素が現実のビジネスとして無理ない数値かどうかを確認することが大切です。

費用を試算する

費用は、商品やサービスを提供するためのコストです。ざっくりとでもいいので、いくつかの項目に分けて考えてみましょう。

同様に、ラーメン屋の1ヶ月の費用で考えると、以下の様な項目が上がってくると思います。

  • 原材料費
  • 人件費
  • 家賃
  • 水道光熱費
  • 通信費、広告宣伝費
  • その他

費用についても、売上高の要素と同じように、具体的な金額を推定していきます。例えば原材料費であれば、麺、スープ、トッピングで大体売上高の30%ぐらいかな?とか、人件費は自分とパート2人で考えればいいかな?といった具合です。

固定費と変動費・損益分岐点

費用には、何もしなくてもかかってしまうものとそうでないものがあります。何もしなくてもかかってしまう費用を固定費といい、売上に応じて変動する費用を変動費といいます。

変動費と固定費

変動費とは、売上の大小に応じて金額が変動する費用をいいます。ラーメン屋のケースで言えば、代表的なものは原材料費がこれにあたります。

これに対して固定費とは、売上の大小にかかわらず、常に固定的に出て行く費用をいいます。ラーメン屋のケースで言えば、家賃や人件費(変動的な場合もある)、設備のレンタルやリースがこれにあたります。

なるべく固定費を抑えることで利益を出しやすくなります。

損益分岐点

売上が固定費と変動費の合計を上回る点を損益分岐点といいます。例えば、固定費である家賃と人件費をまかなう為には何杯のラーメンを販売する必要があるでしょうか?

まずはその杯数のラーメンを販売することが目標となります。

損益分岐点

また、一般的に、固定費が大きいビジネスは儲かりにくい傾向があります。固定費がかかるほど、損益分岐点が大きくなる(下の図で言うと右上方向)になるためです。

固定費のかかるビジネス

⑨実は利益よりも大切?創業時に必要な資金・資金繰り・資本計画

まず、下の図を見て下さい。

死の谷

これ、何を表した図かわかりますでしょうか?

これは、「死の谷」と呼ばれる図で、縦軸にお金・横軸に時間をとり、事業をスタートしてから会社にある現預金の残高の推移を表しています。

主に研究開発型のベンチャー企業に当てはまるのですが、起業してしばらくはなかなか売上がたたずに収入がないのに対して、研究開発費や人件費などでお金はどんどん使っていくため、現預金残高がどんどん減っていきます。

試作品を経て量産品が生産できるようになると、ある時期から売上があがっていくため、会社にある現預金残高も増えていくという訳です。このカーブが谷のように見えるため、「死の谷」と呼ばれます。

資金が尽きれば、新たに資金調達を行わない限りそれ以上事業を継続していくことができなくなります。そのため、起業家やベンチャー企業にとっては、この「死の谷」を超えて事業を継続することができるかどうかがひとつのポイントになります。

なお、この現預金がどんどん少なくなっていく額のことをバーン・レートといい、現在の現預金残高をバーン・レートで割り、「あと何ヶ月で資金がショートするから資金調達しなくては・・・」というようなことを起業家は日々考えていくのです。

先程、研究開発型のベンチャーに当てはまると書きましたが、実は飲食店のようなビジネスにもこうした傾向があります。初めは友人知人や新規開店にひかれた近所の方が来店するが、すぐにそうしたお客さんはいなくなり経営が厳しくなり、だんだんと知名度が出てくると売上が増えていくという流れです。

創業時に必要な資金

この「死の谷」で事業継続が不可能にならないために、起業前に「お金がどれぐらい必要か」、創業時に必要な資金(初期投資と当面の運転資金)を計算しておきましょう。必要な資金額が明確になれば、後はそれをどう調達するかを考えていきます。

初期投資

まずは初期投資です。ものづくりであれば、製造に必要な機械や設備が必要になります。店舗型ビジネスであれば、場所を借りる敷金や礼金が必要になるでしょう。その他、備品や消耗品、事務所の経費などが必要になります。

事業を行う上で必要な物をひとつひとつリストアップしてみましょう。その上で、できるだけ初期投資を抑えるために、新品を買わずに中古品で済ませられないか・買わずに借りられないか・タダもしくは安く譲ってもらえないか、などを考えてみましょう。

最近では、ウィッシュリストと呼ばれる必要なもののリストをつくり、友人知人にプレゼントとして買ってもらうようなやり方も、そう珍しいものではなくなってきています。

amazon欲しいものリスト
https://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html?nodeId=720602

当面の運転資金

初期投資以外にも、創業時に必要な資金があります。それが、当面の運転資金です。

死の谷のところでも触れたように、事業を起こしてある程度の売上がたち収入が発生するまでには、ある程度の期間が必要になります。なぜなら売上がまったくあがらなくても、経費はかかってしまうものがあるからです。

例えばラーメン屋を開業するケースで、1人もお客さんが入らなかったとしても、家賃や光熱費はかかってしまいます。

そのため、数ヶ月は売上がたたなくても事業が継続できるように運転資金を用意しておくことが必要になります。この「売上がたたなくても事業が継続できる」期間をどう考えるかは、起業するビジネスによって異なります。

飲食店であれば数ヶ月が妥当でしょうし、バイオ産業であれば数年という単位で研究開発が必要になります。

創業時の資金調達

必要な資金額が計算できたら、次にその資金をどう調達するかを考えます。

創業時の資金調達は、自己資金が基本になります。これは、資金の一部を借入や出資で賄おうとする場合でも、相当割合の自己資金を出すことは必要です。

次に、家族や友人知人からの出資や借入を検討します。家族や親しい友人知人からも資金を調達できないようなビジネスプランであれば、起業するかどうかそのものを見なおした方がいいかもしれません。

それから、日本政策金融公庫の創業融資制度の利用や、一般金融機関からの借入を検討します。後者は基本的には担保が必要になります。

個人投資家またはベンチャーキャピタルから初めから投資を受けるということも可能性はない訳ではありませんが、その場合は後述するEXITの設定が必要になる場合が多いです。

資金繰り

資金繰りとは、会社に入ってくるお金と出て行くお金の管理を行い、資金が足りなくなることがないようにコントロールすることを言います。

この資金繰り、起業家やベンチャー企業にとって、何より重要なことと言っても過言ではないかもしれません。何と言っても、資金が尽きたらそこで事業継続が不可能になる訳です。

資金繰りで難しいのは、売上が上がっていたり利益を出したりしていても、掛売りや手形などの「信用取引」によっては、会計の流れと資金の流れにタイムラグができるためです。そのため、一般的には「資金繰り表」を作成し、お金の流れを正確に把握することが求められます。

資本計画

ここでは、資本計画(資本政策)について解説していきます。

事業成長と企業価値

起業して事業を立ち上げて事業を少しずつ成長させていくことで、企業価値と呼ばれる会社全体の価値も高まっていきます。

この企業価値、難しい言葉で言うと「事業が将来生み出すキャッシュフローの合計」ということになりますが、ここでは詳しくは内容については説明しません。「企業がお金を生み出す力を評価したもの」ぐらいのイメージを持っていてください。

企業価値の計算方法は複雑ですが、一般的には、収益性(利益率・投資対効果)や成長性などが高い方が企業価値を高めることになります。

EXIT

EXITとは直訳すると出口となりますが、起業やベンチャー企業にとっては、主にIPO(株式上場)やバイアウト(M&Aによる企業売却)により、起業家や投資家が資金を回収することをいいます。

多額の資金が必要になるビジネスを起業する場合は、はじめからEXITを設定して資金調達をするケースも多いです。

EXITの例として、株式会社リブセンスをご紹介します。

創業者の村上太一さんは、早稲田大学在学中の2006年に起業し、リブセンスを立上げています。創業時の資本金は3百円でした。2011年に東証マザーズに上場し、2015年11月30日現在の時価総額(時価総額=株価×発行済株式数)が12,503百万円でした。なお、ここでは時価総額と企業価値を区別しません。

企業価値は始めの3百万円から12,503百万円まで上がっていますので、12,503百万円÷3百万=約4,200倍になったことになります。時価総額が最も大きかったときは、500億円程度になっていたので、そのころは約17,000倍にまでなっています。

もう一つのEXITの例として、海外のバイアウトの事例をご紹介します。

イギリスで17歳の高校生が、あるトピックを検索すると、WEB上のコンテンツを集めて箇条書きとキーワードのリストに要約するiPhoneアプリを作成しました。
Summly  http://summly.com/#

このアプリは2011年11月にローンチされ、2013年3月にYahoo!が買収しましたが、その買収額は3,000万ドルと言われています。わずか1年4ヶ月で、大変な企業価値と評価されたことになります。

このように、起業して事業を立上げて成長させていき企業価値を高めていくことで、はじめに投資した金額の何倍何十倍何百倍もの価値になることもあります。

資本計画(資本政策)

資本計画(資本政策)とは、事業の成長に合わせて必要な資金を調達していく計画になります。

下の図で言うと、まずは創業期には自己資金だけで受託事業をスタートし、死の谷を乗り越え自社サービスを展開する時期にベンチャーキャピタルから出資を受け、さらなる事業展開のためにIPOするという計画です。

すべての起業家が、このような資本計画(資本政策)を立案する必要があるとは思いませんが、事業を大きく成長させていくためには資金調達が必要となるケースが多く、IPOやバイアウトといったEXITを狙う場合は資本計画(資本政策)は必須となります。

事業成長

最後に:こんなビジネスプランが見てみたい!

起業@みんなの教科書では、こんなビジネスプランが良いプランと考えています。

小さく始めて大きく育てよう

✖ いきなり世界征服する!
 個人事業でスタートし、徐々に事業展開していく

できるだけ大きな市場を狙っていきビジョンを大きく描くというのは起業家にとって大切なことです。一方で、そんな大きな市場を狙えるビジネスだけが起業ではありません。身の丈にあった規模から始めるということも大事なポイントです。

絵に書いた餅にならないように

✖ 本当に実現可能なの?
 具体的で実現可能性も高い

ビジネスプランは実現可能性を高くすることが重要です。夢ややりたいことばかりで、調査やテストマーケティングを疎かにしては、良いビジネスプランとは言えません。できるだけ具体的に、詳細まで練り上げてください。

サムシングニュー

✖ 海外や大企業のモノマネ
 少しでも新しいビジネスモデルを!

全く新しいところのないビジネスプランには、聴き手も魅力を感じません。既存の事業やビジネスと何が同じで何が違うのかを明確にしてください。逆に言うと、一つでも新しいことがあれば、それが差別化要素になり得ます。

社会性

✖ 反社会的、違法、環境破壊
 世の中を変えたい、良くしたい

ビジネスプランには起業家の思いが込められます。儲かれば良い、バレなきゃ悪いことでもいい、環境に優しくないなどのプランでは人々の共感が得られません。あなたがそのビジネスを始めることで、世の中がどう変わるかを示してください。

ぜひ、こんなビジネスプランを作成してみてください。

まとめ

今回は、「起業の成功確率を高めるビジネスプランの書き方9つのポイント」と題して、ビジネスプランの作成方法についてまとめています。

  1. ビジネスプランとは・ビジネスプラン作成の目的
  2. 事業概要
  3. ビジョンと経営理念
  4. 市場規模と特徴
  5. ビジネスモデル
  6. 3C分析
  7. 事業展開
  8. 売上利益計画
  9. 創業時に必要な資金・資金繰り・資本計画

ビジネスプランを作成しなくては起業できないかというと、決してそんなことはありません。思いつきで起業し、目の前の課題を解決しながらなんとかビジネスを継続し、結果として大成功している人も沢山います。

しかし、成功している人の陰には、沢山の失敗している人がいるのも、また事実なのです。人生は後戻りできません。起業してから準備不足を後悔したり、想定外の事態に慌てたりしないためにも、逸る気持ちを押さえてじっくりと計画を練ることが重要なのです。

今回ご紹介したビジネスプランの作成方法を読んで頂き、プロセスに沿ってひとつひとつ内容を作成し、何度も何度も書き直していくうちに、成功確率の高いビジネスプランが作成できます。ぜひ、起業する前に、実現可能性の高いビジネスプランを作成してください。

起業を志す全ての人に、有用な記事になれば幸いです。

 


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