作成日:2016年3月20日 更新日:2018年7月26日
株式投資でリターンを得てお金を儲けようと思ったら、リスクを取る必要があります。リスクをコントロールしてできるだけ大きいリターンを得るためには、どのように投資したらよいのでしょうか?
今回は「株式投資でリスクを下げてリターンを上げるための基本的な方法・やり方・考え方」について5つに分けて解説します。投資にリスクは避けられませんが、うまくリスクを管理していきましょう。
まずはここから理解しよう!投資のリスクとリターンの関係
リスクとリターンの関係
リスクは「危険なもの」という意味ですが、投資の世界では「ボラティリティ」と定義されます。ボラティリティとは、株式・不動産・商品などの価格の変動の度合いのことです。ボラティリティが大きいほど、将来大きく価格が上がる可能性もあるし下がる可能性もあり、ブレ幅が大きくなります。
つまり、リスクとは「儲けのブレの幅」のことで、このブレの幅が大きいほどリターン=儲けが大きくなる可能性が高くなります。
例えばボラティリティが大きい株式と、ボラティリティが小さい国債を比較すると下の図のようになります。
株式はボラティリティが大きいためリスクが大きくリターンも大きくなり、国債はボラティリティが小さいためリスクが小さくリターンも小さくなります。
また、リスクがないということはボラティリティがないということですから、株価が上がったり下がったりしない株があるとすれば、その株にはリスクがないということになります。
投資の世界で有名な言葉で、「There is no such thing as a free lunch(タダ飯はない)」というものがあります。「投資にはタダ飯が食べられるようなオイシイ話は無い」という意味ですが、これが意味しているのは「リスクを取らなければリターンが得られない」という事なのです。
リスクが無ければリターンが得られないので、リスクは無くそうと努力するのではなくうまくリスクkを管理してつきあっていく必要があるのです。
また、リスクとリターンの関係を図にすると下の図のようになります。
投資の世界には原則として、「ハイリスク・ハイリターン」と「ローリスク・ローリターン」しか無く、ローリスク・ハイリターンはあり得ないのです。こうしたことを理解しておけば、「リスク無く大儲けできます!」とか「損しない投資法!」などの投資話はすべて「投資詐欺」ということが分かると思います。
なお、みんなの教科書では投資詐欺について別記事で詳細を解説しています。あわせてお読みください。
みんなの教科書記事 「投資詐欺の被害を未然に防止!知っておくべき方法手口まとめ」
株式投資でリスクを下げリターンを上げるための5つの方法・やり方・方針のまとめ
株式投資でリスクを下げリターンを上げるための方法・やり方・方針は、おおきく以下の5つあります。
- 長期的に投資する
- 投資のコストを下げる
- 積立で投資する
- 投資対象を分散する
- インデックス運用を行う
それぞれについて詳しく解説していきます。
①長期的に投資する 株式投資でリスクを下げリターンを上げるための5つの方法・やり方・方針
株式投資でリスクを下げリターンを上げるための方法・やり方・方針の1つ目は、長期的に投資するということです。
株式投資を始めて間もないと短期的に損することがあります。株式投資の初心者は、株式相場が上がるとさらに株を買いたくなり、株式相場が下がるとすぐに売りたくなるものです。しかし、多くの株式投資の成功者は、逆に市場が冷え込んでいる時に淡々と株式を買い、市場が熱狂している時にはまた淡々と株式を売っています。
個人投資家がプロの機関投資家に勝てるメリットは、短期的に成果を出さなくていいという点です。個人投資家の強み「時間」を有効に活用できる長期投資を行いましょう。
下の図を見てください。2002年から2015年の日経平均株価(年次)の動きを表しています。
短期的には株価が大きく変動することがありますが、長期投資により株価変動の幅が小さくなることが分かります。
株式投資でリスクを下げリターンを上げるためには、長期的に投資することが重要なのです。
②投資のコストを下げる 株式投資でリスクを下げリターンを上げるための5 つの方法・やり方・方針
株式投資でリスクを下げリターンを上げるための方法・やり方・方針の2つ目は、投資のコストを下げることです。
株式投資には売買手数料などの様々なコストがかかります。こうしたコストは株式投資のリターンをそのまま減らしてしまいます。なるべく売買手数料が安い証券会社を選ぶなどの工夫をして、投資のコストを下げてリターンを少しでも上げていきましょう。
主要なネット証券会社の売買手数料を一覧にしました。自分の中心的な投資方法や投資金額に応じて選ぶといいでしょう。(2016年11月30日現在)
主要なネット証券会社の売買手数料一覧(現物取引)
約定金額 |
SBI証券 |
カブドットコム証券 |
GMOクリック証券 |
松井証券 |
マネックス証券 |
楽天証券 |
---|---|---|---|---|---|---|
10万円 |
150円 |
194円 |
105円 |
0円 |
108円 |
150円 |
20万円 |
199円 |
291円 |
105円 |
324円 |
194円 |
199円 |
30万円 |
293円 |
388円 |
260円 |
324円 |
270円 |
368円 |
50万円 |
293円 |
583円 |
260円 |
540円 |
486円 |
368円 |
100万円 |
525円 |
1,069円 |
470円 |
1,080円 |
1,080円 |
657円 |
200万円 |
994円 |
2,041円 |
900円 |
2,160円 |
2,160円 |
1,244円 |
300万円 |
994円 |
3,013円 |
900円 |
3,240円 |
3,240円 |
1,244円 |
500万円 |
994円 |
3,690円 |
900円 |
5,400円 |
5,400円 |
1,244円 |
1,000万円 |
994円 |
3,690円 |
900円 |
10,800円 |
10,800円 |
1,244円 |
現物取引の売買手数料については、松井証券かGMOクリック証券が低コストであることが分かります。
主要なネット証券会社の売買手数料一覧(信用取引)
約定金額 |
SBI証券 |
カブドットコム証券 |
GMOクリック証券 |
松井証券 |
マネックス証券 |
楽天証券 |
---|---|---|---|---|---|---|
10万円 |
154円 |
106円 |
100円 |
0円 |
108円 |
270円 |
20万円 |
154円 |
193円 |
100円 |
324円 |
194円 |
270円 |
30万円 |
206円 |
268円 |
100円 |
324円 |
270円 |
270円 |
50万円 |
206円 |
484円 |
100円 |
540円 |
486円 |
486円 |
100万円 |
388円 |
820円 |
100円 |
1,080円 |
1,080円 |
486円 |
200万円 |
388円 |
1,015円 |
100円 |
2,160円 |
2,160円 |
486円 |
300万円 |
388円 |
1,188円 |
100円 |
3,240円 |
3,240円 |
486円 |
500万円 |
388円 |
1,188円 |
100円 |
5,400円 |
5,400円 |
486円 |
1,000万円 |
388円 |
1,296円 |
0円 |
10,800円 |
10,800円 |
486円 |
信用取引の売買手数料についてはGMOクリック証券が低コストであることが分かります。
売買手数料も積み重なると無視できないコストになります。株式投資でリスクを下げリターンを上げるためには、投資のコストを下げることが重要なのです。
③積立で投資する 株式投資でリスクを下げリターンを上げるための5 つの方法・やり方・方針
株式投資でリスクを下げリターンを上げるための方法・やり方・方針の3つ目は、積立で投資することです。
毎月定期的に資金を積み立てて株式投資をすることを「ドルコスト平均法」といい「買う時間を分散させる」という効果があります。例えば銀行の積立定期預金のように、毎月一定額で株を買い投資していく方法です。
ドルコスト平均法を図で見ていきましょう。毎月「同じ株数」を買っていく方法と、毎月「同じ金額」で株を買っていく方法(ドルコスト平均法)を比較してみます。
購入方法 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
合計 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
同じ株数 |
株数 |
3株 |
3株 |
3株 |
3株 |
3株 |
3株 |
18株 |
金額 |
15,000円 |
45,000円 |
30,000円 |
45,000円 |
15,000円 |
30,000円 |
180,000円 |
|
同じ金額 |
株数 |
6株 |
2株 |
3株 |
2株 |
6株 |
3株 |
22株 |
金額 |
30,000円 |
30,000円 |
30,000円 |
30,000円 |
30,000円 |
30,000円 |
180,000円 |
毎月「同じ金額」で株を買っていく方法は、毎月「同じ株数」を買っていく方法に比べて、買える株数が増え平均購入単価が引き下げられることがわかります。
株式投資でリスクを下げリターンを上げるためには、積立で投資することが重要なのです。
④投資対象を分散する 株式投資でリスクを下げリターンを上げるための5つの方法・やり方・方針
投資でリスクを下げリターンを上げるための方法・やり方・方針の4つ目は、投資対象を分散することです。
1つの投資対象にすべての資金を投入するのは非常に危険です。どんなに業績の良い大企業でも、倒産して株式の価値がゼロになる可能性もゼロではないのです。分散投資は下のリンクがとても分かりやすいのでご参考にしてください。
卵を1つのかごに入れる(集中投資)の危険性と、卵を別々のかごに入れる(分散投資)とリスクを下げることが分かります。
株式投資では銘柄を複数持つことでリスクを抑えることができるようになります。もし株式投資以外の投資方法も選べるのであれば、債券・海外の株式や債券・不動産・商品など様々な投資方法に分散させておくことでさらにリスクを下げることができます。
株式投資でリスクを下げリターンを上げるためには、投資対象を分散することが重要なのです。
⑤インデックス運用を行う 株式投資でリスクを下げリターンを上げるための5つの方法・やり方・方針
株式投資でリスクを下げリターンを上げるための方法・やり方・方針の5つ目は、インデックス運用を行うことです。
インデックス運用とは、日経平均株価や東証株価指数など市場平均と同じ運用益を狙う投資手法のことです。例えば、日経平均が10%上がれば同じように10%のリターンを上げることを目指します。また、インデックス運用はパッシブ(消極的)運用とも言います。
インデックス運用の逆の投資手法をアクティブ(積極的)運用と言い、こちらは市場平均よりも高いリターンを目指します。しかし、アクティブ運用を行ったからといって市場平均を上回るリターンを得られるとは限らず、実際に機関投資家などアクティブ運用を行うプロの投資家でさえ、市場平均を超えて運用できるのは半数以下なのです。
マネックス・ユニバーシティ 失敗しない、投資の方法より
また、経済評論家でお金の専門家である山崎元氏がインデックス運用のアクティブ運用に対する優位性を解説しています。
運用業界にとって不都合だが、強力な事実がある。(事実1)アクティブ運用の平均はインデックス運用に劣る、(事実2)優れたアクティブ運用を「事前に」見分けることはできない、の2つだ。
山崎元「ホンネの投資教室」 インデックス運用が最強である理由
このように、投資のプロでさえ難しい市場平均を上回る運用を目指すアクティブ運用より、個人投資家はインデックス運用でリスクを下げる方が良いでしょう。
株式投資でリスクを下げリターンを上げるためには、インデックス運用を行うことが重要なのです。
まとめ
今回は「株式投資でリスクを下げてリターンを上げるための基本的な方法・やり方・方針」について5つに分けて解説しました。
- 長期的に投資する
- 投資のコストを下げる
- 積立で投資する
- 投資対象を分散する
- インデックス運用を行う
についてまとめています。今回ご紹介した株式投資の原則となる方法・やり方・方針で、リスクと上手につきあいながら良い投資を行って下さい。
株式投資に関心のある全ての人に有用な記事になれば幸いです。