国内MBA・社会人大学院入試の小論文の書き方・例-文章型問題対策

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小論文

国内MBA・社会人大学院の入試にはほとんどの場合、小論文が出題されます。「小論文なんて書いたことがほとんど無いよ」という方、「学生時代からだいぶ時間がたってて小論文なんて忘れちゃったよ」という方など、苦手な方が多いようです。

そこで今回は、「国内MBA・社会人大学院入試の小論文の書き方・例-文章型問題対策」と題して、国内MBA・社会人大学院の入試に必須の小論文の書き方を解説します。今回は特に出題回数の多い「文章型問題」に対する対策を解説します。

今回の記事を読めば、国内MBA・社会人大学院入試の小論文の書き方のポイントを理解することができます。ぜひお読みください。

 

どんな種類があるの?国内MBA・社会人大学院入試の小論文

国内MBA・社会人大学院入試の小論文は、大きく2つぐらいのパターンに分けられます。

  1. ある現象や状況またはある意見や考えについて自分の意見や考えを述べる「文章型問題」
  2. ある企業などのデータを分析し今後の見通しや戦略・対策を述べる「分析型問題」

今回の記事では、1の「ある現象や状況またはある意見や考えについて自分の意見や考えを述べる」の小論文についての書き方を解説します。こちらの問題の方が圧倒的に出題頻度が多いため、まずはこの形式の問題から対策していきましょう。

出題者は何を求めているの?国内MBA・社会人大学院入試の小論文

社会人大学院

By: Yahoo

小論文が苦手な人は、そもそも小論文というものがどんなものなのか、また出題者が求めているポイントが分かってない場合が多いです。そこを理解して小論文を作成するのと、理解しないで作成するのとでは大きな違いが出てきます。

小論文とはどんなものか、また出題者は何を求めているかを解説していきます。

小論文は自分の意見や考えを述べるもの

小論文は「自分の」意見や考えを述べるものです。そのため、事実だけを羅列したり一般的な考えや意見について述べたものは小論文としての条件を満たしておらず価値がありません。小論文を作成する時には、「自分の意見や考え」を述べましょう。

国内MBAや社会人大学院の入試では、受験者が「自分の意見や考え」を持てるのかそれをきちんと主張できるのかが問われます。なぜなら、「自分の意見や考え」を持っていない人や主張できない人は、MBA大学院での講義やディスカッションにおいて全体に貢献できないからです。

小論文は意見や考えが正しいかどうかは関係ない

小論文はそこに書かれた「自分の意見や考え」が正しいか間違っているかは問われません。「本当に?」と思われる方もいるかもしれませんが、これは本当です。そもそも、国内MBAや社会人大学院の入試で、書かれた小論文が正しいか正しくないかまで検討する時間はないのです。

ただし、その意見や考えに「なぜ」至ったのかのプロセス、すなわち論理性は問われます。「自分の意見や考え」そのものが正しいのではなく、それを導きだしたプロセスが論理的であるかどうかが重要なのです。MBA大学院での講義やディスカッションにおいて、論理的に話す・主張するということが大変重要だからです。

書き方のポイント!国内MBA・社会人大学院入試の小論文

前述のように国内MBA・社会人大学院の小論文では、「自分の意見や考え」が正しいかどうかではなく、「自分の意見や考え」をどう論理的に導いたかが問われます。

出題者が小論文が論理的かどうかを判断するのは「小論文の組み立て・構成」です。短時間で大量の小論文を添削する出題者・添削者にとっては、小論文の組み立てや構成がきちんとしているかで論理的かどうか判断します。

そもそもきちんとした構成で書かれていない小論文は読みづらく、それだけでマイナスになります。このように小論文にとっては構成が重要です。構成によって論理的かどうか判断されますが、構成はオリジナリティを出すのでなく常に以下の形式・順番同じように回答するといいでしょう。

  • 結論(出題の問いに対する答え)
    まず、出題の問いに対する答えを述べる。
  • 理由(結論を出すにいたった理由)
    結論を出した理由を述べる。
  • 結論(再度)
    再度結論を述べる。これは無くてもよい。

それぞれについて解説していきます。

小論文における「結論」 

まず小論文の出題の問いに対する答えを書きましょう。つまり、まず結論として、問われている事に対して答えることが重要です。

小論文が苦手なほとんどの方は、まずこの「結論から書く」ということが苦手なようです。結論に至るプロセスや理由を書いてからでないと読み手分かりにくいのではないか?というイメージがあるようですが、むしろ逆です。問いに対する答えを最初に述べることで、読み手はまず書き手の考えを知り、その後の理由が書かれていると思いながら読み進めていきます。そのため、結論から先に書いたほうが分かりやすいのです。

出題の問いが自分の意見が問われている場合、「私はこう考える。」「◯◯である。」などと書きます。賛成か反対かを問われているなら、「私は◯◯に賛成だ。」「私は◯◯に反対だ。」。とまず書きましょう。ちなみに、小論文の場合は自分の考えや意見を「◯◯である。」などと言い切ってしまって構いません。「と考える」でもOKですが、「と思う」は主観的な意見に感じられないので避けるべきです。

そして、その次に結論に至った理由を述べていきますが、その前に「以後に理由を述べるということ」と「いくつ理由があるか」を記述します。その方が、読み手にとって読みやすくなるからです。

結論を導いた理由

次に、結論に導かれた理由を述べます。ここでは、できれば理由を3点少なくとも2点書きましょう。その方が、1つの問題に対して多面的に考えたということを示すことができます。

2つから3つの理由を書いていきますが、まず理由のポイントを簡潔に述べその後説明補足を加えていきます。書き方としては、「はじめに、◯◯だからである。なぜなら…」「第二に、✖✖である。なぜなら…」。こうした書き方の方が自分の考えも整理しやすいですし、読み手に分かりやすくなります。

結論(再度)

文末に、初めに書いた結論をもう一度書きます。文字数が足らなければ書かなくても構いませんが、最後の結論があると小論文が「締った」感じになります。「これまで述べた◯点の理由から、私は◯◯と考える。」などの書き方がいいでしょう。

小論文の書き方の例

ここまで解説した書き方に沿って、例を上げておきます。設問は「日本企業は終身雇用制を廃止すべきか」の小論文です。

まず、書き出しは結論からです。

「私は、日本企業は終身雇用制を廃止すべきでないと考える。理由は、以下に述べる3点である。」

結論は問いに対する答えになるので、ここでは終身雇用制を「廃止すべき」か「廃止すべきでない」かを述べることになります。ここでは、「廃止すべきでない」とします。また、理由の数も書いたほうが読み手に分かりやすくなっています。

 はじめに、終身雇用制を廃止しないことにより、引き続き従業員が高いモチベーションを持ち、企業の成長に寄与するからである。終身雇用制は、長期間安心して働ける制度であるため…
 第二に、終身雇用制を廃止しないことにより、企業は長期的な人材教育により、効果的な人材育成が可能になるからである。すなわち…
 第三に…

理由をひとつひとつ述べていきます。まず簡潔に理由を述べ、その後に補足の説明を加えていきます。

 これまで述べた3点の理由から、私は、日本企業は終身雇用制を廃止すべきでないと考える。

最後に結論を再度書きます。小論文はこのように書き進めていきます。

実際の入試の際のコツ!国内MBA・社会人大学院入試の小論文入試

実際に入試の際は時間との戦いになります。入試の際はコツを抑えて、効率的に回答していきましょう。

まず時間配分

まずは時間配分です。例えば1時間で800字書くのであれば、構成30分・執筆20分・チェックと見直し10分という感じに時間配分しましょう。特に大切なのが構成です。いきなり書き始めると後で内容が変わったり付け加えることがでてくると困ります。

構成については十分に時間を取りましょう。

回答の組み立て方

実際の入試の際は以下のような点に気をつけて回答を組み立てていきましょう。

  • 初めに、何を問われている問題なのか、何に答えていったら良いか明確にしましょう。
  • 次に、結論を決めます。結論については、きちんと問いに答えているかを注意しましょう。
  • 理由をできれば3点、難しければ2点考えます。注意点としては重要なポイントを箇条書きにして、補足説明を加えることです。
  • 理由については、それぞれの理由のレベル感をなるべくあわせる。例えば、理由の1つは企業全体の成長に関わることを書いているのに、他の理由が一部門の経費に関わることだと、レベル感が合わずあまり良くありません。
  • それぞれの理由のボリューム感を考え、全体として字数制限に合うようにした後、理由の文章を書いていきます。

回答の際の注意点

  • 何問か提示されて答える問題を選択する場合は、答えられそうなものを選択しましょう。あえて難しい問題に回答する必要はありません。
  • 字数は理想は9割で最低8割です。字数オーバーは避けましょう。
  • 文章は決められた形式で、同じ様に書いていきます。小説でないので、カッコいい表現は必要ありません。
  • 一文はできるだけ短くしましょう。2行から3行が限界です。
  • 一般的に小論文が苦手な人は、読点が少ない傾向があります。多すぎるぐらいでちょうどいいです。

【参考】国内MBA・社会人大学院入試小論文回答例

ここでは、実際の国内MBA・社会人大学院の設問をもとに回答例を載せておきます。参考にしてください。

設問

早稲田大学ビジネススクール(早稲田大学大学院商学研究科専門職学位過程ビジネス選考)2011年入学入試から 小論文タイプA

コンピュータ(特に インターネット)の普及により、新しいビジネスモデルが展開されるようになりました。その1つの例をとりあげ、コンピュータが果たす役割とビジネスモデルの特徴について述べなさい(1200字)。

回答例

 コンピュータやインターネットの普及により、新しく展開されたビジネスとして、インターネット通信販売を手掛けるAmazonを例としてとりあげる。Amazonの事例における、コンピュータが果たす役割とビジネスモデルの特徴について、以下に大きく3点について述べる。
 はじめに、Amazonでは、一般的な小売店や他の通信販売会社よりも、けっして安くない単価で商品を販売しているにも関わらず、送料無料と原則即日配送を実現することで、利用者の購買意欲を高め、大きな売上を上げるビジネスモデルに特徴がある。これは、コンピュータやインターネットにより、世界中の多くの人々からの注文を受けることができるようになり、これまで考えられなかったような大規模な、薄利多売ビジネスが可能になったからである。また、ビジネスの展開できる地域や規模が大きくなり、将来に期待できる売上や利益が非常に大きくなったことで、一時的あるいは短期的なコスト高による赤字も許容できるようになっていることも、コンピュータやインターネットの果たしている役割である。
 第二に、Amazonでは、利用者にリコメンドと呼ばれるお勧め商品を提案し、利用者の購入意欲を増やしたり、予期していなかった商品の購入機会を創造したりすることで、利用者一人あたりや1回あたりの売上を増加させるビジネスモデルを特徴としている。これは、コンピュータやインターネットにより、莫大な利用者の購入履歴をデータとして蓄積することと、そこで得たビックデータの利活用が可能になったことで、これまでよりはるかに精度が高く効率的な「お勧め」が可能になったからである。また、ある商品をこれまで購入した人の口コミを収集開示し、利用者に閲覧してもらうことで、利用者の購入に対する不安や躊躇を取り除いていることも、コンピュータやインターネットが果たしている役割である。
第三に、Amazonでは、ニッチなニーズや特定の顧客にしか購買されないようなマニアックな商品も購入することができるため、販売機会を逃さず、さらに、ついで消費も促進するようなビジネスモデルを特徴としている。これは、コンピュータやインターネットにより、実店舗での販売スペースが不要になり、在庫管理も地価の安い地域で一括して管理できる、ロングテールと呼ばれる、一つ一つの売上は小さくてもまとめると大きな売上を占めるような商品を取り扱うことが可能になっているからである。このように、実店舗ではとても扱えないような販売頻度の低い商品を取り扱えるのは、コンピュータやインターネットの果たしている役割である(1013字)。

まとめ

今回の記事では「国内MBA・社会人大学院入試の小論文の書き方・例-文章型問題対策と題して、国内MBA・社会人大学院の入試に必須の小論文の書き方を解説しました。特に今回は、出題回数の多い「文章型問題」に対する対策をまとめています。

  • 小論文の出題の種類
  • 小論文に出題者が求めているもの
  • 書き方のポイント
  • 実際書く時のコツ
  • 小論文回答の例

についてまとめています。

国内MBA・社会人大学院に行くことが目的になってはいけませんが、まず入らないとその後の目的が達成することができないのもまた事実です。ぜひ今回の記事を読んで小論文が得意になって頂き、国内MBA・社会人大学院の入試を突破してください。

学びに関心のある全ての人に有用な記事になれば幸いです。

 


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