作成日:2016年3月7日 更新日:2018年7月26日
法律は悪徳商法から消費者を守るため、「クーリングオフ」という制度を用意しています。しかし言葉は聞いたことがあっても具体的な内容は知らないことが多いのではないでしょうか?
そこで今回は「クーリングオフ」について徹底解説します。制度の方法ややり方・対象になる取引と対象外の取引・有効な期間・業者への書面の書き方や文例などをまとめています。消費者を守る「クーリングオフ」制度を知り、悪徳商法から自分の身とお金を守りましょう。
契約についての基礎知識とクーリングオフ制度の概要
契約についての基礎知識
強引に勧誘されて必要のないサービスを受ける契約をしてしまったり、送られてきた商品が販売員の説明と異なったりするなど、悪徳商法は古くから存在しなかなか無くならないものです。
商品を買ったりサービスを受けたりする「契約」は基本的には理由なく解除はできません。たとえ契約書がなくても、契約は「口約束」だけで成立してしまうのです。逆に、勝手に契約を解除すると損害賠償を請求される可能性さえあります。
クーリングオフ制度の概要
しかし、しつこい勧誘で契約させられるなどの販売方法から消費者を守るために、法律で定められた取引かつ契約から一定の期間内であれば、無条件に契約を解除(または申込を撤回)することができます。これがクーリングオフという制度です。
クーリングオフをするとそもそも契約(あるいは申込)がなかったことになります。すでに対価として支払ったお金は全額戻ってきます。仮に契約書に「キャンセル料」や「違約金」の項目があったとしても無効のため、業者に支払う必要はありません。また、商品がすでに送られてきている際は着払いで返送できます。
クーリングオフは消費者の負担なく契約を解除できる仕組みなのです。
クーリングオフの対象になる取引と対象外になる取引・クーリングオフできる期間
クーリングオフの対象となる取引とクーリングオフできる期間
クーリングオフは全ての取引が対象となるのではなく「法律で定められた取引かつ契約から一定の期間内」である場合に適用できます。それでは、どんな取引・期間ならクーリングオフの対象になるのでしょうか、あるいは対象外になるのでしょうか。
例えば以下の取引は、それぞれクーリングオフの対象となるでしょうか。それとも対象外となるでしょうか。
- デパートで購入した家具
- 屋外で勧誘され事務所で契約した化粧品(キャッチセールス)
- 電話で呼び出されてお店で契約した絵画(アポイントセールス)
- 訪問販売による屋根修理の契約
- カタログの通信販売で購入した食器
- ネットで購入したゴルフセット
- エステサロンの契約
- 料理専門学校の入学金・授業料
答えは・・・クーリングオフの対象となるのは2・3・4・7で、クーリングオフの対象外となるのは1・5・6・8です。
まず、店舗で購入したものや契約についてはクーリングオフの対象外となります。そのため、1の「デパートで購入した家具」は対象外です。しかし、仮に店頭で契約したとしても、キャッチセールスやアポイントセールス(電話などで顧客を呼び出して販売する手法)はクーリングオフの対象となります。そのため、2の「屋屋外で勧誘され事務所で契約した化粧品」や3の「電話で呼び出されてお店で契約した絵画」はクーリングオフの対象です。
次に、訪問販売はクーリングオフの対象です。そのため、4の「訪問販売による屋根修理の契約」はクーリングオフの対象となります。
一方、通信販売はクーリングオフの対象外となります。そのため、5の「カタログの通信販売で購入した食器」と6の「ネットで購入したゴルフセット」はどちらもクーリングオフの対象外です。
学校や教室などについては「特定継続的役務提供」と定義される分野(エステ・学習塾・語学教室・家庭教師・結婚相手紹介・パソコン教室)に限りクーリングオフの対象になります。そのため7の「エステサロンの契約」はクーリングオフの対象ですが、8の「料理専門学校の入学金・授業料」はクーリングオフの対象となりません。
クーリングオフの対象となる取引と、クーリングオフできる期間を表にまとめました。
取引 | 期間 |
---|---|
訪問販売 | 8日間 |
電話勧誘販売 | 8日間 |
店舗外販売 | 8日間 |
キャッチセールス・アポイントセールス | 8日間 |
特定継続的役務提供(エステ・学習塾・語学教室・家庭教師・結婚相手紹介・パソコン教室) | 8日間 |
連鎖販売取引(マルチ商法・ネットワークビジネス) | 20日間 |
業務提供誘引販売取引(内職・モニター商法) | 20日間 |
ローン(クレジット)契約 | 8日間 |
保険契約 | 8日間 |
不動産売買契約 | 8日間 |
冠婚葬祭互助会契約 | 8日間 |
※クーリングオフ期間は契約書の交付日を1日と数えて計算します。
クーリングオフできる例外
クーリングオフの対象外となる取引、例えば通信販売でも販売業者によっては返品を認めている場合があります。そのため、通信販売だからと諦めずに契約書を確認してみましょう。
また、クーリングオフ期間は上の表のように取引ごとに決まっています。ただし、契約書が交付されていなかったり、販売業者が嘘をついて契約させたりクーリングオフをさせないようにしたりした場合は、期間を過ぎたとしてもクーリングオフできます。
クーリングオフできない例外
逆に、クーリングオフの対象となる取引でもクーリングオフできない例外があります。
- 3,000円未満の現金取引
- 自動車(新車・中古車問わず)
- クレジットカードの申込
- 携帯電話・ケーブルテレビ・有線放送・プロバイダー契約など
- 不動産賃貸借契約
- 指定消耗品(健康食品や化粧品など)を使用または消費した場合
これらの商品・契約はクーリングオフの対象外となっていますのでご注意下さい。
クーリングオフの方法とやり方・書面の書き方と文例
クーリングオフの方法とやり方
クーリングオフは書面で行ってください。クーリングオフは通知を発送した瞬間に有効になります。そのため、販売業者が「クーリングオフの通知を受け取っていない」と言ったとしても、消費者が送付したことを証明すれば良いので、クーリングオフは封書などの書面で行うべきなのです。なお、クーリングオフの通知は販売業者への事前連絡は不要です。
発送方法としては内容証明郵便が、通知の内容と配達を証明してくれるため良い方法です。次善の方法として、特定記録郵便や簡易書留などの配達のみ証明してくれる方法があります。内容証明については。下のリンクの郵便局のガイドや詳しい解説ページを参考にしてください。
内容証明郵便は個人でも作成送付が可能です。しかし、文字数などの決まりがあるので不安な方は専門家に相談しましょう。様々な法律問題の相談が無料でできる「日本法規情報」のリンクを載せておきます。
クーリングオフ通知書面の書き方と文例
クーリングオフ通知書面の書き方はそれほど難しいものではありません。文例を載せておきますのでこちらを参考にして作成してください。