不動産投資で節税?節税効果のない減価償却や法人化の失敗事例3つ

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作成日:2016年2月26日 更新日:2018年7月26日

不動産投資を始めたら確定申告をすることになりますが、減価償却や法人化をうまく活用すれば節税することができます。しかしネットや本で言われている不動産投資による節税方法でも実際にはうまくいかないケースがあります。

そこで今回は「不動産投資で節税しようとしたが節税効果がなかった失敗事例」を解説します。失敗事例を知ることで、同じ様な間違いを犯さないように気をつけることができます。

 

不動産投資における節税効果のない減価償却や法人化の失敗事例のまとめ

今回解説する「不動産投資における節税効果のない減価償却や法人化の失敗事例3つ」をまとめると下の表のようになります。

番号 節税方法 失敗理由
物件価格の建物の金額を大きく割り振り、減価償却の額を増やす 減価償却で節税効果は得られるが、物件売却時の課税所得が大きすぎるとうまくいかない
築年数の古い物件で建物の金額を大きく割り振り、短い期間に大きく減価償却する 割り振る金額に限界があるのと、物件売却時の課税所得が大きすぎるとうまくいかない
法人化により様々な費用を経費参入する 法人化による経費参入にも限界があるのと、個人のままでもある程度節税できる

それぞれの内容について詳しく解説していきます。

不動産投資における節税効果のない減価償却や法人化の失敗事例① 「減価償却の額を増やす」

不動産投資における物件の減価償却費は、経費として認められるため所得を押し下げます。そのため、減価償却費は一定の所得税・住民税の節税効果があります。

減価償却の節税効果

しかし注意すべきなのは、減価償却の節税効果を享受できるのは投資期間中のみなのです。減価償却は取得原価を下げるため、不動産投資の出口として物件を売却する際には逆に課税対象となる譲渡所得がその分押し上げられることになります。

したがって、物件取得-投資期間-物件売却の不動産投資全体としては、厳密には「『所得税・住民税の税率』と『譲渡所得税の税率』の差による節税効果」しか得られないということになります(下の図を参照)。

税率の差による節税効果

譲渡所得税は長期と短期で税率が異なります。

譲渡期間 所得税 住民税 合計
長期 所有期間5年超 15% 5% 20%
短期 所有期間5年以下 30% 9% 39%

所得税・住民税の実効税率を30%とすると、長期譲渡の場合は譲渡所得税が20%ですので、節税効果は10%になります。仮に物件売却時の減価償却累計額が500万円だとしたら、500万円30%=150万円の節税効果はあったが、売却時に500万円20%=100万円の譲渡所得税が余計にかかるため、実際の節税効果は差し引き50万円しかないということなのです。

一方、短期譲渡の場合は同じケースだと、譲渡所得税が500万円39%=195万円余計にかかるので、節税効果どころか45万円余計に税金がかかったことになってしまうのです。

「減価償却の額を増やす」失敗事例のポイントは以下の2点です。

  1. 減価償却の節税効果は「『所得税・住民税の税率』と『譲渡所得税の税率』の差による節税効果」しか得られない
  2. 短期譲渡の場合はむしろ損な場合がある

不動産投資における節税効果のない減価償却や法人化の失敗事例② 「短い期間に大きく減価償却する」

築年数がかなり古い物件(木造アパートなど)は、耐用年数の短さから減価償却期間が短くなります。そのため、減価償却費として毎年経費にできる金額も大きくなり、節税効果が高いと言われます。物件価格の建物の金額をなるべく多く割り振り、短期間で大きな減価償却費を発生させる事は有効でしょうか?

事例で考えてみましょう。

  • 4,000万円で築30年の木造アパートを購入
  • 建物3,600万円・土地400万円で割り振る
  • 年間900万円・4年間で減価償却する
  • 毎年の減価償却費をほかの物件の課税所得と相殺する
  • 減価償却終了後に売却

売却時には物件の取得原価は土地の分400万円になるため、4年後に売却すると3,600万円39%で1,404万円の譲渡所得税が、1年待ったとすると3,600万円20%で720万円の譲渡所得税がかかります。

これは失敗事例①と同様に、厳密には「『所得税・住民税の税率』と『譲渡所得税の税率』の差による節税効果」しか得られないということになるため、果たして本当に節税効果が高いかどうかは検討の余地があります。

なお、税法で決められてる建物の耐用年数は、RC(鉄筋コンクリート)が47年、重量鉄骨が34年、木造が22年です。中古物件を購入した場合、正式には築年数が耐用年数を超えている場合は「残りの耐用年数=法定耐用年数0.2」となり、築年数が耐用年数以下の場合は「残りの耐用年数=(耐用年数-経過年数)+経過年数0.2」で計算します。ここでは分かりやすい数字で計算しています。

また、建物の金額を大きく割り振るといっても限界があり、税務調査を受けた時に修正しなくてはならない事もあります。

「短い期間で大きく減価償却する」失敗事例のポイントは以下の3点です。

  1. 減価償却の節税効果は「『所得税・住民税の税率』と『譲渡所得税の税率』の差による節税効果」しか得られない
  2. 建物の金額の割り振りには限度がある

不動産投資における節税効果のない減価償却や法人化の失敗事例③ 「法人化により経費参入する」

法人を設立し物件を購入し不動産投資することで、様々な費用を経費として落とすことで節税効果を得るという方法があります。確かにその通りなのですが、ここで注意すべき点が3点あります。

  1. 個人でも控除を受けられる
    不動産投資の事業規模が大きくなった時(5棟10室)には個人でも事業税がかかりますが、290万円までは控除されます。これは法人の場合は対象にならない控除です。
  2. 法人特有のコストがかかる場合がある
    法人では法人税や雇用保険・労災保険などの法人ならではのコストがかかってきます。
  3. 個人の方が法人よりも税額が安い場合がある

ここでは3の「個人の方が法人よりも税額が安い場合がある」を事例で見ていきましょう。

個人(個人事業)と法人の税金

個人(個人事業)と法人の税金には以下のような違いがあります。

項目 個人(個人事業) 法人
税金の種類 所得税・個人住民税・個人事業税 法人税・法人住民税・法人事業税
所得税 所得金額による累進課税(別表) なし
法人税 なし

所得800万円以下:15%
所得800万円以上 :22.5%
(資本金1億円以下)

住民税

所得割:10%
均等割:一律4,000円
(東京都)

法人税割:法人税額の17.3%
均等割:70,000円(資本金1000万以下)
(東京23区)
事業税 事業所得の5% 所得400万円以下:3.4%
所得400万円~800万円:5.1%
所得800万円以上:6.7%
(普通法人・東京都)

所得税の計算表

また、所得税は累進課税で以下のように計算されます。

課税所得 税率 控除金額
195万円以下 5% 0円
195万円超~330万円以下 10% 97,500円
330万円超~695万円以下 20% 427,500円
695万円超~900万円以下 23% 636,000円
900万円超~1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超~4.000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 50% 4,796,000円

所得税額は、所得税額=課税所得税率-控除金額の式で計算されます。

課税所得による個人(個人事業)と法人の税額の違い

では、これらの税額計算にもとづき、課税所得による個人(個人事業)と法人の税額の違いを見ていきましょう。

課税所得300万円の場合

項目 個人(個人事業) 法人
所得税 202,500円
(300万円10%-97,500円)
なし
法人税 なし

450,000円
(300万円15%)

住民税

304,000円
(300万円10%+4,000円)

147,900円
(45万円17.3%+70,000円)
事業税 37,500円
((300万円+65万円-290万円)5%)
102,000円
(300万円3.4%)
合計 544,000円 699,900円

このように、個人(個人事業)の方が税額が少なく得なことがわかります。

課税所得600万円の場合

項目 個人(個人事業) 法人
所得税 772,500円
(600万円20%- 427,500円)
なし
法人税 なし

900,000円
(600万円15%)

住民税

604,000円
(600万円10%+4,000円)

225,700円
(90万円17.3%+70,000円)
事業税 187,500円
((600万円+65万円-290万円)5%)
238,000円
(400万円3.4%+200万円5.1%)
合計 1,564,000円 1,363,700円

課税所得600万円になると法人の方が税額が少なく得なことがわかります。

「法人化により経費参入」失敗事例のポイントは以下の2点です。

  1. なんでも経費参入できる訳ではない
  2. 課税所得によって法人化が得かどうか変わる

ご参考:不動産投資を成功させるために参加しておくべきセミナー

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まとめ

今回は「不動産投資で節税しようとしたが節税効果がなかった失敗事例」を解説しました。

  1. 不動産投資における節税効果のない減価償却や法人化の失敗事例① 「減価償却の額を増やす」
  2. 不動産投資における節税効果のない減価償却や法人化の失敗事例② 「短い期間に大きく減価償却する」
  3. 不動産投資における節税効果のない減価償却や法人化の失敗事例③ 「法人化により経費参入する」

についてまとめています。不動産投資による節税方法もやり方によってはうまくいかないケースがあります。失敗事例を知ることで同じ間違いを犯さないように注意することができます。

不動産投資に関心のある全ての方に有用な記事になれば幸いです。


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